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ソードアートオンライン 無邪気な暗殺者──Innocent Assassin──
OVA
〜暗躍と進撃の円舞〜
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「昨日、サラマンダー相手にフェンリルを
出撃
(
だ
)
さなくて良かったヨ。もし戦わせてたら、思う壺だっただろうから」
アリシャは、残酷な慰めなど口にしなかった。事務的なことを冷静で頑なな口調で語る。
そうしないと、やってられないとばかりに。
その声に後押しされたように、ヒスイは顔を上げた。一つだけ深呼吸し、萎えかけていた意識を切り替える。
「……アリシャちゃん、実際問題、コレどうやったら収拾つくと思う?」
ぶっちゃけ、今のケットシー情勢はかなり厳しい。
敵の狙いがアリシャの言うように、ケットシーそのものに対する不平不満の爆発。そしてそれによるテイミングスキルの
弱体化
(
ナーフ
)
だった場合、秘蔵のドラグーン隊を出す訳にもいかなくなった。
さらに世論関係でも、キャラバン襲撃の件や昨夜の騒動のせいもあって、こちら側がやや悪い。いざ矢面に立たされた時に非難される率は高いだろう。
一番のいい方向性は、このまま何もなくほとぼりが冷めるまでじっとしていることだが、これがただ運が悪いだけの突発的現象でなく、明確な悪意――――黒幕がいる限り、二の矢三の矢は放たれるだろう。そして、今の情勢ではその矢一発だけで致命傷となりかねない。
八方塞がりや、とばかりに肩をすくめる狐耳の猫妖精に、領主は焦点を遥か遠く見据えさせながら、ぽつりと言った。
「……レンくんが、いたらなぁ」
ケットシーの誇る《個》。
ドラグーン隊やフェンリル隊とは違う。一騎当千を凝縮したような究極の個体戦力。
彼がGGOに行っていなかったら、と嘆くアリシャに、ヒスイはため息交じりに口を開いた。
「それも、敵さんの狙いやったんやろうな」
実際、今回の出来事はほぼほぼレンがいたら片が付く内容だ。
レンが仮に、サラマンダーや黒幕を真正面から堂々と打ち倒したとしても、プレイヤーの不満はケットシーには向かない。彼の実力のほどは知れ渡っているので、そのほとんどは畏怖と尊敬とほんの少しの呆れとなってレン本人に矛先が向くはずだ。
そして、あの少年がいればという領主の苦悩は別の意味をも含んでいる。
それは、少年がいない現状はいつまでもは続かないという話だ。GGOで大会に殴り込みに行っているというレンの言を信じれば、彼は最低でも大会の終わる今日の夜にはまたALOに再コンバートを果たすだろう。
当然、敵側が盤上の全てをひっくり返すジョーカーの帰還をただ待っているとは考え難い。必ず、今日中――――夜までに何かを仕掛けてくるはずだ。
―――けど、その迎撃にフェンリルを使えないとなると厄介やんなぁ……。
だが。
ぼんやりと思考を彷徨わせていたヒスイは、そこで口角を上げた。
聴覚に設定されたサウンドエフェクトが響き
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