第13話 気づいた本音、残った疑問
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ているの。暗くなる前に早く帰りなさい」
四の五の言わさず、僕は退出させられた。
「失礼しました」と一言告げて僕は廊下へ。扉が閉まると同時に大きなため息がこぼれる。
「はぁ...、絢瀬先輩、いったいどうしちゃったんだろう。もしかしてあれが本心だったのかな?」
だとしたらかなりのショックである。
なんていうか...失礼だけど、かなり頭が固いようで言葉だけでは通用しない。
かといって行動も制限されてしまった。やはり、音ノ木坂内で噂として広まったのがまずかったのかもしれない。
とりあえず、二人との待ち合わせ時間は既に過ぎてるから連絡を入れようと携帯を開く。
メール、不在着信に一件ずつ届いていた。
『どうかしたの?私たち待ち合わせの場所にいるんだけど』
というメールに対して『ごめんね?ちょっと用事があって遅れちゃった。今からそっちに行きます』と打ち込んで携帯を胸ポケットにしまう。
「春人くんはなにやら吹っ切れたような感じやったね」
「ふぉぉっ!?ってと、東條先輩でしたか。びっくりさせないで下さいよ〜」
耳元で囁かれ、僕は思いっきり前に飛び跳ねる。
ドキドキと鼓動が早くなった胸あたりを抑えながら僕は一歩後ろに足を引く。
...何をされるかわからなくて怖かったからだ。
「そんなに怯えなくてもええんよ?ウチは君と話がしたかっただけなんやし」
「話...ですか」
「そ、さっき聞いた春人くんの理由とえりちの理由の”違い”について」
何が言いたいのかさっぱりといった感じで僕は眉を顰める。
そんな僕には目もくれず、後ろで手を組みながら先輩を僕の前を歩きだす。
「結論から言うと、えりちと春人くん...あ、待って!今春人くんの面白いあだ名浮かんだ!」
「...へっ?」
話が急すぎる。
僕と絢瀬先輩の理由の違いについて話すはずだったのに唐突に”あだ名”と言われてこけそうになった。
「あだ名....ですか」
「そやで!ウチの生徒会長はえりちって呼んでるんやけど、”エリーチカ”ってお婆様から呼ばれてたらしいんよ。だからえりち」
「そう、なん...ですか」
「で、春人くんは今日から”ハルーチカ”、略して”ハルチ”。どや?」
「ハルチ....」
『どや?』と言われてもなんとも言えない。
多分絢瀬先輩のあだ名をそっくりそのまま引用しただけなんじゃあ....。
「ま、まぁそれでいいんじゃないですか?ちなみにどうしてそう名付けたんですか?」
「えりちみたいで呼びやすかったからや」
「あ〜....はい」
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