外伝
第0話『るろうに戦姫〜独立交易都市浪漫譚』
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目を疲労させる。
「なんだか違和感がありますね。目が疲れてきました。弓を使ったときはこんなことなかったのに……」
「弓は的のみを見て、弓弦の引き具合と肩で射角を取るからな。この銃の場合は照準器が片目だけだから、多少は慣れが必要だ」
不慣れながらもヴァレンティナは心を躍らせながら、ライフルの引き金をゆっくり引いた。
カチッ。
1発目――発射。
ヴァレンティナは、狙撃銃の射程距離に鳩が豆鉄砲を喰らったような眼になった。
引き金を引いた瞬間、体全体がはじけるような錯覚に襲われた。彼女にとってそれは、まさしく未知の体験だった。
思わずごくりと、固唾を呑む。それと同時に妙な高揚感が沸き上がってきた。
「おもちゃだと思って侮っていました。次は外しません!」
おっ。気合満々だな。
弾を再装填し、次弾に備える。
2発目――発射。
「おしい!あとちょっとだったのに!」
引き金を引くとき、銃全体を揺すってしまった。距離がここまではなれていると、針の穴程度のズレでも大きく影響してしまう。
凱は両手を頭に添えて、本気で悔しがる。狙撃手のティナも「あうう〜」と悔しがっていた。
これが最後の3発目。緊張が走る。
ドキドキする鼓動を身に感じ、彼女は数珠のようにつぶやき、ルーティーン状態へ陥った。
「目標をセンターに入れてスイッチ……目標をセンターに入れてスイッチ……目標をセンターに入れてスイッチ」
どこかで聞いたことのある台詞だな。ありゃ。
青ざめた顔をしながら目をグルグル文字通り回している。こんな状態ではまともに的に当たるはずがない。
凱の見たところ、ティナの狙撃では特に狙いも悪くない。引き金を引くタイミングもあっている。しかし、最後の1発という思考が彼女の精神状態を阻害している。
凱は少し助け舟を出すことにした。
ティナの体に寄り添う形で銃の姿勢を補正する。引き金のタイミングを伝える。頬を引き付けるように。コトリと堕ちるように。
若干ティナは顔を赤らめたが、寄り添った本人の凱は気にした様子を見せない。
凱から勇者成分という元気の素をもらった以上、外すわけにはいかない!
嘆願に近い気持ちで、心の引き金を引いた。
「ティナ……おい!ティナ!聞こえてっか!?」
遥か彼方先の標的が、ポトリと台から落ちた。音声用の玉鋼と映像投影用の玉鋼を複合させた特殊設備で確認できた。
ヴァレンティナの健闘を称えるように、特殊照明用の玉鋼がキラキラ点滅する。
「え?どうしました?これは一体?」
「やったな!ティナ
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