外伝
第0話『るろうに戦姫〜独立交易都市浪漫譚』
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酔いつぶれても俺は知らねーぞ」
普段より楽しい気分だからこそ、酔いも早く回りやすい。普段の彼女なら、アルコールの強い火酒でもこうは酔いつぶれそうになったりしない。
「い〜や〜で〜す。優しくしてくださいまし」
両足を子供みたいに地団太踏み、凱にとことん甘えて見せる。対して凱は目線を細めて軽く溜息をつく。
(なんだかヴァレンティナの喋り方が崩れてきたぞ。これ以上キャラが崩れる前に撤収するか)
「そろそろ宿舎へ戻るぞ。今日一泊したら朝イチでジスタートに帰れ」
下手をすれば舌が回らなくなる前に、彼女を引き上げる……のだが。
「いやです!明日も付き合ってください!」
猛烈に抗議された。明日に帰れといったら、明日も滞在すると言い出す始末。
「またかよ!しかも逆に俺が怒られた!」
こいつはかなり酔いが来ているな。しっかりしろよ。ヴァレンティナ。
「それと、私の事はティナと呼びなさい。今度から他人行儀みたいな呼び方したら口を聞いてあげません」
結局、ヴァレンティナ=グリンカ=エステスは翌日も凱に付き合うことにした。
【独立交易都市・3番街の「娯」の大通り】
独立交易都市には、いくつかの区分けと大通りがある。
昨日の夜、ティナと凱が訪れたのが「食」の大通り。
今日の朝、例の戦機様と訪れているのが「娯」の大通りである。
その名の通り、娯楽施設が網羅しており、とある観光客などは「1日いても飽きない」と言わせるほどのエンターテイメント性をもつ。
これも例にもれず海賊『黒船』からもたらされた文化を取り入れている。海賊船の船底に巨大な「カジノ」なるものが設営されていたのだ。
手ごろなゲームで時間をつぶして、何とか彼女をオステローデに帰らせようと考えていると――
「これは何ですの?」
興味深そうに、彼女は対象物を指さした。
「射的ゲームか。ちょっと寄ってみようぜ」
的の絵柄が書かれている施設へ二人は入っていく。
「あれ、何ですか?なにやら薄い板のようですけど」
質問したティナに店員が誇らしげに商品説明をする。
「多目的通信用玉鋼か――なかなかお目が高いですね。これは独立交易都市が誇る最新の通話器具です」
もともとは、軍国出身の「ユーイン=ベンジャミン」が考案した音声警報の玉鋼である。霊体を通信網、つまり周波数と考えて、遠距離通話を実現させたものだ。
このベースとなった音声玉鋼を介したセシリーの告白は、今では都市の歴史の一部となっている。
通信速度が飛躍的に上昇した為、ヒューゴーの市民演説や独立交易都市の災害時避難誘導、緊急放送が可能になったのである。
今回、彼女がほしがっているものというのは、凱の故郷でいう「○マートフォ○」に
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