外伝
第0話『るろうに戦姫〜独立交易都市浪漫譚』
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クセにさせるのだ。
どうやら彼女の口にあってよかった。
これは元々『黒船』の海賊が持ち込んできた飲み物である。凱の故郷にも似たような飲み物があるから量産することが出来たのだ。
「ひんやりしていておいしいですね。お酒というより果物飲水に近いのかしら?でも……」
今まで味わったことのない飲料感に、思わず感想が口走ってしまった。飲む○―○ルトみたいなものである。
「これが品書(メニュ―)になるけど、そろそろ何か頼むか」
「そうですね」
「これと、これと……これをお願いします」「あいよ!」
お品書きの項目を数行さして、ヴァレンティナは品物をオーダーした。独立交易都市の文字は読めない人でも、食品絵をメニューの横に添えるようにしてある為、誰でも悩まず選べるようになっている。
そして彼女が選んだのは、「アツアゲタマゴヤキ」「ナンコツカラアゲ」「エダマメ」等、片手にビールが合いそうなものばかりだった。興味本位からビールも注文した。このメニューも黒船からの遺産である。
おいおい、なんだか金曜日お疲れ様セットになっちまったけど、それが食べたいならまあいいか。
そもそも、目の前の女性は図々しい程の電撃来客である。凱にとって、あまり気を遣う必要はないと判断したのだろう。まあ、自分からほしいものを頼んでるから、これ位の付き合いが丁度いいのかもしれない。
やがて注文した品が届き、酒をお互いのみかわし、ある程度胃袋が落ち着いてきたところで話題を上げた。
何から聞いたらいいかよくわかなかったが、とりあえず大鎌のことについて聞いてみた。
「そいつはすごい大鎌だな。いつもそれを持ち歩いているのか?」
「ええ、身分証明みたいなものですから」
「身分証明か。そういや国王に次ぐ権限を持つ戦姫様だったな。やっと思い出してきたぜ。竜から与えられた戦姫専用の武具があるってことを」
「そうです。その戦姫だと知っていて、あなたは随分と態度が適当ですわね」
「あえてそこは親しいといってくれ。俺は誰に対しても同じ態度で接するのさ。そもそも独立交易都市じゃ貴族制度は数年前から廃止されちまって、今は四民平等を歌う市民制が敷かれてるんだ。市民の中にも滅亡した王国の末裔が流れ着いたり、元海賊がお役人になったりしている」
「そうなのですか?」
「騎士も貴族も平民も奴隷も関係ない。全てにおいて皆平等と唱えた革命家がいたんだ。でもジスタートには王様がいるから王制が敷かれているんだったな。」
日本で言い換えれば、国王は天皇陛下か内閣府に相当し、公国は都道府県に、戦姫様はさしずめ知事と言ったところ。
「そういえば、どうしてあなたはオステローデ……いえ、ジスタートを知っているのですか?」
「ああ、あの時の事か。さっきも言った
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