外伝
第0話『るろうに戦姫〜独立交易都市浪漫譚』
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しかし、それをすると、ただでさえ気の難しいエザンディスがさらにへそ?を曲げてしまうかもしれない。エザンディスも一緒に連れていってほしいのだろう。
「そいつはエザンディスというのか。まるで意志があるみたいだな」
「ええ、あなたのおっしゃる通りですわ」
ヴァレンティナの意味深な台詞に、凱は頭の中でふと人物を思い浮かべた。
アリアみたいに神剣から人の姿になったりするのかな?
神剣アリア。第二次代理契約戦争の最中、右曲余折を得て魔剣から「逆刃直刀の神剣」として生まれ変わった。
ブレア火山の御神刀としてまつわられていたバジル=エインズワース最後の一振り「逆刃刀−極打ち」と共に再鍛錬された。未知の物質『隕鉄』を含む唯一の刀である。
彼の一振りに混合されていた隕鉄が、失われた魔剣としての力を取り戻すことに成功する。神剣の勇者「セシリー=キャンベル」とは死線を乗り越えてきた大切な絆で結ばれており、現在も共に風の未来へ走り続けている。
「……あまり驚かれないのですね」
「まぁ、実際に人の姿から剣に変化するのだって見たことあるし、君の大鎌に意志があっても不思議じゃないさ」
「人の姿から剣に?にわか信じがたいですわ」
当初の凱も、彼女と同じ感想を抱いたものだ。なまじ人から剣へ、剣から人へ変化するなど、漫画やアニメの中の出来事だと思っていた。
「それにしても、喉が渇きましたわね。何か適当なお酒はありますでしょうか」
「酒類飲みたいのか?しゃーねーな。じゃああそこにするか」
適当に捕まえた居酒屋風味の露店で、凱とヴァレンティナはビアガーデンに腰を掛けた。すると、見知った顔の女性が凱にオーダーを求めてくる。
「おかえりなさーい!シシオウの旦那」
「チュース!」
軽く手を振って、凱は付き合いに比例した親しみを振りまいていく。
「シシオウのアニキ!」
それから、凱を知るそれらの傭兵や亜人、若い娘や年老いた民間人等、女給から出迎えのあいさつが飛ぶ。対して凱も、軽くうぃーっすと仕草を返す。
随分と彼―ガイは慕われているのね。ヴァレンティナは凱にそのような印象を抱いた。
「カシスオレンジ2つ頼むよ」「はーい♪」
「なんですのこれ?果汁水のようですけれども?葡萄酒」
「酒が飲みたいって言っていたじゃないか。そいつはそんなにアルコール強くないから飲みやすいしな」
トロピカルなオレンジにヴァレンティナは興味を抱く。喉が渇いているのは事実なので、とりあえず飲んでみた。
ゴクゴク。ぷはー。失敬。下品な仕草をお見せしました。あまりの美味しさについ気が緩んでしまった。
水のような流動性がないものの、不快な飲料感は全くない。それどころか、独特な喉越しが彼女を
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