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魔弾の王と戦姫〜獅子と黒竜の輪廻曲〜
外伝
第0話『るろうに戦姫〜独立交易都市浪漫譚』
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、その中には軍船の常識を転覆させる『黒船』が1隻紛れていた。
あらゆる科学技術を持ち込んできた敵を倒すには、獅子王凱の存在が必要不可欠だった。
諸外国の強大な文明力によって、帝国、軍国、列州国もろとも、やがては植民地として飲み込んでしまう。向こうの世界の経済の一部に組み込まれてしまう事だけは、何としてでも阻止しなければならない。対策を講じる必要があると告げたヒューゴー=ハウスマンは、精力的に次世代へ改革に取り組んだ。

――それはさながら、日本幕末動乱期から明治維新に切り替わるように――

ヴァレンティナは僅かに目を見張った。
彼女自身は幼少のころ、書物に囲まれて本に親しんでいた時期がある。断片的にしか知り得ていないが、ヴァレンティナはその時独立交易都市の存在を知ったのだ。
民主制の独立交易都市は、彼女にとって魅力的な要素のカタマリに見えたのだ。
市民平等・三権分立・民主主義・高度経済・資本主義――
そして、目の前の青年はオステローデを知っている。このめぐり合わせは数奇なものを、ヴァレンティナは凱に感じ取っていた。

「ここがさっき君が言っていたオステローデ。ジスタートの首都、もとい王都シレジアはもう少し南西のほうかな?そんでもって俺達が今いるのがここ、独立交易都市ハウスマンだ」

「東の方はこのようになっているのですね」

極精密に描かれたヴァレンティナは感嘆の溜息をついた。未開の地の姿を見れたのは、大きな収穫といえよう。
オステローデとルヴーシュは大体正確な位置を示していたものの、他の国や都市はかなり大雑把に記されていた。そこには何やら小さい紙切れで簡単に張られている。カクカクした字で『調査中』と書いてあるが、その文字は日本語である為、ヴァレンティナに読めるはずがなかった。

「この山脈を抜ければ、東の地に行けるようですが……」

ヴァレンティナの興味を示したその指先は、軍国の西側にたたずむ山脈を示していた。独立交易都市から航路をなぞるようにして、オステローデを指し示す。

「そいつは無理だ。まるで成層圏を突き抜けるような標高だぜ。普通の人間が挑戦したら間違いなく途中下車してしまう」

「セイソウケン?」

「大陸と大空の間にある気流帯域の事だよ。並みの山脈よりも酸素は薄いし気温も低い。何より宇宙空間に限りなく接するから有害物質や放射線も降り注いでいる。ここまでの気圧差が生じてしまえば、水分の
塊である人間の身体じゃすぐ沸騰しちまう」

「ウチュウ?」「おっと、いつもの調子で喋りすぎまったな」元宇宙飛行士の青年は途中で説明を中断する。ついヒューゴーやハンニバルに郊外調査を報告するのと同じクセで説明していた。

次々と聞いたことのない単語――この男に少し興味がわいてきましたわ。
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