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『八神はやて』は舞い降りた
第6章  『八神はやて』
第48話 コスプレ少年リアルはやて
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 ファンとの交流の中で、徐々に少年の才能が開花していった。
 最初はただのコスプレイヤーに過ぎなかったが、アイドルとして人気が出てきたのである。


「リリカルなのはのコスプレでは、彼女が飛びぬけてクオリティが高いよなあ」
「おい。リアルはやてさんは、男らしいぜ」
「嘘だッ!スカートから覗く生足を見ろよ。女にしか見えねえ」

「いやいや。こんなに可愛い子が、女の子なわけないだろう」
「男の娘、か。アリだな」


 周囲のささやきを漏れ聞きながら、苦笑する少年。
 いままで、彼は、『リアルはやて』として活動してきた。
 やむを得ず活動しているに過ぎないので、本名は使わないようにしてきた。
 だが、今日は違う。


「はじめましての方は、はじめまして。久しぶりの方は、いつも応援ありがとう。あらためて、自己紹介しようと思います。僕の名前は、『八神はやて』どうかよろしく!」


 両親から貰った大切な名前。
 いままでは、芸名の『リアルはやて』として活動してきたが。
 本当の名前を、卑下して隠すことを止め、堂々と名乗った。
 少しでも男らしく見えるように「俺」にしていた一人称も、元通り「僕」になった。
 この名乗りは、新たな一歩を踏み出す決意表明だ。
 晴れやかな笑顔で、観衆を魅了しながら、八神はやては、思う。


(父さん。母さん。僕のことを、どうか見守っていてください)


 ふと、ハイスクールD×Dというライトノベルのことを思い出す。
先輩に勧められたが、読む気が起きず断った。人気らしいが自分は「読んだことがなかった」。
脳裏をちらつくのは青い宝石。あれは一体……と思考に沈もうとしてサインを求められ意識を覚醒させた。
 どこかで青い光に包まれた少女が嗤った。

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