第6章 『八神はやて』
第48話 コスプレ少年リアルはやて
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夢の世界が現実ではなくて、安堵した。
落ち着いたところで、夢の内容を思い出したところで、頭を抱えてしまう。
「アニメの夢をみるなんて。サブカルチャーに毒されすぎだ。くっ、去年のトラウマが……」
高校入学と同時に、名前や容姿のせいで不登校になった。
その後、周囲の協力もあり、学校に復帰することはできたものの。
すっかり、容姿はコンプレックスになってしまう。
とはいえ、身を守るためには、アイドル活動をしないわけにはいけない。
その最中、出会ったのが、『ハイスクールD×D』という作品だった。
この出会いを境に、徐々にサブカルチャーに傾倒していった俺は。
いろいろと「やらかして」しまった。
免疫のない俺は、恐ろしい病にかかったのだ。
その病気の名前は――中二病。
「夢にまで見るなんてね。俺はもうだめかもしれない。でも」
―――――久しぶりに父さんの笑顔をみた
両親が他界してから、いまだ1年ほどしか経っていない。
持家だった日本の実家は、広々としていて静寂に包まれている。
孤独な一人暮らしをしている少年にとって、夢で見た光景は眩しすぎた。
けれども、
「――なんで、夢の中でまで、死ななきゃならないんだ!」
混乱から立ち直り、先ほど見た夢を思い出す。
誕生日の前日。就寝中に、突然、怪物――はぐれ悪魔だろうか――の奇襲を受けた。
父に庇われ生き残ったのもつかぬ間、怪物と目が合ったところで、夢は途切れている。
死に際の父の姿が、目の前に転がる父の遺体が脳裏に焼き付いて離れない。
昔の記憶がよみがえる。
何度も何度も懺悔し、封印し続けている記憶。
交通事故にあったとき、彼もまた同乗していた。
それでも、彼が助かったのは――父が咄嗟に息子を庇ったからだ。
「結局、夢の中でも庇われるなんて、な。ああ、くそっ!なんで、なんでなんだよぉ。どうして、いまさらこんな夢ッ……ごめんなさい。父さん、母さん……ごめんなさい」
気が付いたら涙を流していた。
事故のときみた、最期の光景が、夢でみた姿とだぶって見えた。
広々とした自宅は、一人で使うには広すぎる。
それでも使っている理由は、もったいないからではない。
ただ、思い出のつまった場所から離れること。
その思い出が風化してしまうことを恐れたためだ。
この夢を見た誕生日を境に、彼は変わっていく。久々にみた家族の夢。
幸せだった日々とその幸せが唐突に終わった瞬間を描いた物語。
きっと、この夢には意味がるのだ、と。
いままで考えないようにしていた父と母のこと。
あらためて考える切掛けが出来たこと
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