ブリューヌ激動編
第1話『流浪の勇者〜彼は愛故に戦えり』
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である酒池肉林という邪な欲を吼えた地点で、凱はこの争いに介入することを決意した。
首領のドナルベインは、一つ一つ思い出すかのように小さくつぶやく。
「貴様!あの時の男……!」
「今一度聞く。そんな理由の為に、ティッタから……この娘からお金を奪ったのか?」
「うるせぇ!舐めた真似しやがって!この女からぶっ殺してやる!」
すかさず、凱は布巻状態のガオーブレスからウィルナイフを抜刀する!これ以上、取返しのつかなくなる前に事を沈めるしかない。
「待て!これ以上、その少女に切っ先一寸たりとも触れるな!相手なら、俺がするぜ!」
「ガイさん!だめです!こんなに相手が多くては……!」
いくら凱でも、この人数ではとても敵わない。素人のティッタでも分かることだ。
もし、自分の為に駆けつけてくれたとしたら、ティッタは自責の念に囚われてしまう。
たとえ不利な状況でも、凱の意思は変わることはなかった。やがてその意思は行動へと変わる!
「くそ!たたんじまえ!!!大いに苦痛を味あわせてから殺せ!」
一斉に凱へと食らいつく飢狼共は、雄たけびを上げる!
まるで血に飢えた狼のような男たちは、乱立的に襲い掛かる!
19チェート(190cm)の凱より体格のでかい敵もいる!
大人の身長ほどの大剣をもつ敵もいる!
双剣を携えた、戦い慣れしている敵もいる!
そんな連中が、凱を取り囲むように迫りくる!
しかし、連中が瞬きした瞬間には、凱の姿など何処にもなかった!
「野郎……どこだ!?ぐあ!」
「おい!一体……がは!」
「何が起きて……ぐううう!!」
一瞬の剣筋が、輝きが刹那の間だけ見えるだけで、凱の姿がどこにも見当たらない!
「カ・ミ・カ・ゼだ!」
「は、速すぎる!」
「駄目だ!全然見えねぇ!」
神風とは、ヤーファ国に伝わる攻撃的な銀閃現象である。
疾風に乗って傷つける風は、奇術か妖術の類だとしか考えられない。
凱の神速を現実として受け入れる事が出来ないから、このように例えるしかないのだろう。
人の何倍、何十倍の速さをもって、背後に回り、頭上へ飛んで、死角へ入り込む。その一連の動作をしているに過ぎない。
戦士同士の苛烈な駆け引きをしているわけではないのだ。
常に相手の一歩先を取る。敵が二人なら二歩先を取る。三人なら三歩先を取る。敵の人数に比例して先手の読み数を増やすのが凱のやり方だ。
それゆえ、敵には凱の行動が速く感じられるのだ。
次々と倒れこんでいく配下達を見て、ドナルベインは目を大きく見開いて冷や汗をダラダラと垂らしていた。
驚愕を示しているのは、ティッタとて同じであった。
「心配するな。生命ま
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