ブリューヌ激動編
第1話『流浪の勇者〜彼は愛故に戦えり』
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の視線が凱に向けられる。
「……何者だ!貴様!」
「いたぞ!あそこだ!」
増援の警備兵に水を差された大男は、不機嫌な表情を出してこの場を去っていく。
「ふん!我こそは獅子王!最強の戦士だ!」
などと豪言しながら――男の背中を見送った。
凱は、己の腕の中でいつの間にか気を失っている少女の顔を覗き込んだ。
「この娘……よほど必死だったんだろうな。あの男を深追いするよりも、まずはこの子をなんとかしなきゃ。放っておくわけにもいかないし」
そして、この子の事を誰に聞いたらいいんだろう?こういう時は交番とか迷子センターに送り届ければいいのだが、中世時代を思わせるこのセレスタには、多分ないと思う。
しばらくはさまようことになるんじゃないか?
だが、そんな杞憂を晴らす救世主が、意外な形で現れた。
1刻程歩いていたら、親切な人と出くわしたのだ。
「ティッタちゃんじゃないか?」
妙齢の女性だった。その話す感じから、かなり親しいのが凱でも分かる。
「すみません。この子は……」
思いもよらない形でこの時、凱は初めてヴォルン家へと訪れることとなった。
『ブリューヌ・アルサス中心都市セレスタ・ヴォルンの屋敷』
大男に徹底的にやられた警備兵たちは、重傷ながらも、幸い九死に一生を得た。持ち合わせていた玉鋼で治癒の祈祷契約を施したからだ。
(こいつは、パティに感謝しなきゃな。それにしても、祈祷契約がここでも使えたってことは……こんな遠くにも黒竜の吐き出す霊体がしみ込んでいるのか)
みるみるうちに傷口がふさがり、血液の流出がとまるのを確認すると、凱は傷ついた警備兵を安静させるため、近くの宿に泊まらせた。
――ここで見たことは、どうか忘れてくれないか?――
人差し指を口元につけて、凱はそっと奇跡を見た人たちにお願いした。
ティッタを抱きかかえたまま、凱はヴォルン邸へとたどり着いた。
「ここが領主様の屋敷か。素朴だけど、なかなかいいじゃないか。寝坊と昼寝と射撃が似合いそうな雰囲気がする」
昼寝と射撃が得意といえば、眼鏡をかけた小学5年生の野○○び太を連想させる。
以前、竜具をどこでもドア替わりにして、なおかつ引出しから現れたヴァレンティナに向かって○ラ○も○と突っ込んだものだ。(←外伝後記述)
素直な感想が、ぽろりと凱の口から出てきた。人口的な石造物よりも、自然的な木造物のほうが凱の好みだ。
まだあったことがないにもかからわず、凱はヴォルン家当主に対して親しみやすい印象を抱いたのだった。
――へくし!――
気のせいか、異国の地でティグルがくしゃみをした。もちろん凱
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