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先恋
先恋〜マジ恋〜
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(…恋…か…)
沙奈は心の中で呟く。正体が本当に恋なのか、自分でもよく分からない。だが、恋という言葉を脳内に浮かべると、少し胸が高鳴り、何とも言えない、不思議な気持ちになる。
(…でも、もし私が春先君に恋してるなら、勿論、伝えるなんて事は許されないし…だからと言って、伝えなかったら今のままぼーっとしちゃうだろうし…)
沙奈は頭を悩ませながら仕事を始めるーー。





気が付けばもう二時間目が終わる頃だ。三時間目は二年生の授業だ。沙奈は準備をして、職員室を出た。


教室内は休憩中の為、生徒達の声で賑わっていた。沙奈が入ってきた事にも気付いていない様子だ、と、数名の女子生徒が駆け寄ってくる。
「せんせー??」
「ん?どうしたの?」
「私ねー、先生の授業大好きなんだー」
「そ、そう…」
少し照れながら返す。別の生徒も声を掛けてきた。
「ねーねー、瑞T〜!」
「瑞T??」
「瑞木teacherだから、瑞T??」
「そ、そう、何?」
沙奈と数名の生徒が話していると、後ろから誰かに肩を叩かれる。
「?どうし…」
「どうも、先生、」
「春先君…」
陸太は優しく微笑む。沙奈はその笑みで顔が熱くなるのを感じながら、笑い返す。
「あ、やっと笑ってくれた…」
「え?」
「今日先生、凄く…辛そうだったから…」
陸太が眉を下げる。沙奈は陸太の方へ体を向け、
「ありがとう、春先君には沢山助けられたもんね、本当に、ありがとう」
「いえ、僕は当たり前の事をしたまでです、それと、先生にお話が…」
そこでチャイムが鳴る。陸太はあっという顔をし、
「また後で…良いでしょうか?」
「え?うん、」
陸太が席に着く。何やら気になるが、沙奈も授業を始めた。
(………)
何故だろう、生徒達を見ながら授業をしていると、高確率で陸太と目が合うのだ。陸太以外の生徒を見て、陸太側に視線をやると、必ず目が合う。まるで彼方が此方を見つめているかのように…、そこで沙奈はハッとし、そんな訳ないだろうと自分に言い聞かせる。
(春先君がこっちを見つめてるなんてそんな事ある訳ないんだから??何変な事考えてんの??駄目駄目!そんな事考えてるようじゃ……)
陸太の方を見る、と、目は合わなかった。
(ほら…偶然…)

チクリ…と胸が痛んだ。その痛みと共に、自身のその気持ちに気付かされるのだ。

(間違いなんかじゃない、嘘なんかじゃない…私は、春先君が……好き…)



チャイムが鳴る。
「宿題のワーク!ちゃんとやっといてね、はい、号令お願いします」
「これで………………………ありがとうございました!」
「ありがとうございました!」
号令をし、生徒達が席を立つ。陸太はこちらを見つめていたが、そのまま教室を出てしまった。

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