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Sword Art Rider-Awakening Clock Up
ダークリパルサー
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っこのテーブルを選ぶと、白い椅子に腰掛けた。
向かいに座ったアスナが、気遣わしげな様子でリズベットの顔を覗き込んできた。
「……どうしたの、リズ?」
リズベットはなけなしの元気を振り絞って、ニコリと大きな笑みを浮かべた。アスナと気安い噂話に花を咲かせる時の、いつも通りのリズベットの笑顔。
「……あの人なんでしょ」
腕を組み、アスナの顔を斜めに見る。
「え、ええ?」
「アスナの、好きな人!」
「あ……」
アスナは肩をすばめるようにして俯いた。頬を染めながら、大きくこくんと頷いた。
「……うん」
ずきん、という鋭い胸の痛みを無理矢理無視して、更にニヤニヤ笑いを浮かべる。
「確かに、変な人だね、すっごく」
「……キリト君、なにかしたの?」
心配そうなアスナに、力いっぱい頷き返す。
「あたしの店一番の剣をいきなりへし折ってくれたわよ」
「うわっ……ご、ごめん……」
「別にアスナが謝ることないよ」
自分のことのように両手を合わせるアスナを見ると、胸の奥が更にズキズキと
疼
(
うず
)
く。
もうちょっと……もうちょっとだけ、耐えろリズベット。
心の中で呟いて、どうにか笑顔を保ち続ける。
「まあそれで、あの人が要求するプロパティの剣を作るにはどうしてもレア金属が必要だってことになって、上の層に取りに行ったのよ。そしたらせこいトラップに引っかかっちゃってさ、脱出に手間取って、それで帰れなかったの」
「そうだったの……。呼んでくれればよかったのに、ってメッセージも届かないのか……」
「アスナも誘えばよかったね、ごめん」
「ううん、昨日はギルドの攻略があったから……。で、剣はできたの?」
「あ、まあね。まったく、こんな面倒な仕事は二度とゴメンだわ」
「お金いっぱいふんだくらないとダメだよー」
同時にあははと笑う。
リズベットは微笑みを浮かべたまま、最後の一言を口にした。
「まあ、変だけど悪い人じゃないわね。応援するからさ、頑張りなよ、アスナ」
「う、うん、ありがとう……」
アスナは頷きながら、首を傾げてリズベットの顔を覗き込んできた。伏せた
瞼
(
まぶた
)
の奥を見られないうちに、勢い良く立ち上がり、言う。
「あ、いっけない!あたし、仕入れの約束があったんだ。ちょっと下まで行ってくるね!」
「えっ、店は……キリト君はどうするの?」
「アスナが相手してて!よろしく!」
踵
(
きびす
)
を返し、駆け出した。背後のアスナに向かってパタパタと手を振る。振り向くわけには
行かなかった。
ゲート広場のほうに向かって走り、オープンカフェから見えない所まで来ると、最初の
角
(
かど
)
を南に曲がった。
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