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Sword Art Rider-Awakening Clock Up
ダークリパルサー
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一体昨夜はどこにいたのよ!?わたし黒鉄球(こくてつきゅう)まで確認に行っちゃったんだからね!」

「ご、ごめん。ちょっと 迷宮ダンジョンで足止め食らっちゃって……」

「ダンジョン!?リズが、1人で!?」

「ううん、あの人と……」

視線でアスナの斜め後ろを指し示す。クルリと振り向いたアスナは、そこに所在なさそうに立つ黒衣の剣士を認めると、眼と口をポカンと開けてフリーズした。ワンオクターブ高い声で……

「き、キリト君!?」

「ええ!?」

今度はリズベットが仰天(ぎょうてん)する番だった。アスナと同じように棒立ちになってキリトを見やる。

キリトは軽く咳払いすると、右手を少し上げて言った。

「や、アスナ、久しぶり……でもないか。2日ぶり」

「う、うん。……びっくりした。そっか、早速来たんだ。言ってくれればわたしも一緒したのに」

アスナは両手を後ろで組むと、笑いながらブーツの踵で床をトントンと叩いた。その頬がわずかに桜色に染まっているのを見て、リズベットは全てを察した。

キリトがこの店に来たのは偶然じゃないんだ。アスナがここを推薦したんだ……彼女の、想い人に。

……どうしよう……どうしよう。

頭の中で、その言葉だけがグルグルと渦巻いていた。足先からゆっくりと全身の熱が流れ出してしまうような気がした。体に力が入らない。息ができない。気持ちの持って行き先が、見つからない。

立ち尽くすリズベットに向き直ると、アスナは屈託(くったく)のない様子で言った。

「この人、リズに失礼なこと言わなかったー?どうせあれこれ無茶な注文したんでしょ」

そこで小さく首を傾げた。

「あれ……でも、ってことは、昨夜はキリト君と一緒だったの?」

「あ……あのね……」

リズベットは咄嗟に足を踏み出し、アスナの右手を掴むと工房のドアを押し開けた。わずかにキリトのほうを向き、彼の顔を見ないようにしながら早口に言う。

「少し待ってて。すぐに帰ってくるから」

そのままアスナの手を引き、売り場に出る。ドアを閉め、陳列棚(ちんれつだな)の間を抜けて店の外へと。

「ちょ、ちょっとリズ、どうしたのよ?」

戸惑った声でアスナが聞いてきたが、リズベットは無言で表通りを目指して早足で歩き続けた。

あれ以上、キリトの前にいられなかった。逃げ出さなければ、行き場をなくした気持ちをぶつけてしまいそうだった。

リズベットの(ただ)ならぬ様子に気づいたのか、アスナはそれ以上は何も言わずに黙って付いてきた。

そっと彼女の手を離す。

東に向かう裏表通りに入り、しばらく歩くと、高い石壁に隠れるように小さなオープンカフェがあった。客は1人もいない。リズベットは(はし)
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