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Sword Art Rider-Awakening Clock Up
決死の脱出
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に塗り替えられて消えていくような感じだ。
そんな恐怖を感じながら、俺は自分の身体が激しい痛みに支配されているにも関わらず、
真司
(
しんじ
)
に背を向けて走り出した。
耐えられなかった。この場所から1秒でも速く抜け出したかった。ほんの少しでいいから、自分を照らす光がほしかった。
その先に、一条の光が見え__。
ゾワリと背筋に走った寒気が、俺を一瞬のうちに夢から仮想世界へ引き戻した。
「……ハッ!」
静かに悲鳴が口から漏れ、瞬時に
瞼
(
まぶた
)
が持ち上がった。
自分の体に掛けられている布から上体を起こし辺りを見回すと、白い光が世界を満たしていた。氷壁に
幾重
(
いくえ
)
にも反射してきた朝陽が、縦穴の底に積もる雪を輝かせている。
「……夢か」
さっきまでの体験は、全て悪夢だった。今までにも最悪と呼べる悪夢を見てきたが、今回はものすごくリアルに感じられた。親友を裏切ってしまったような罪悪感が、俺の中に残っているとしたら、それが悪夢という形で俺の前に現れたのだ。
「大丈夫か?」
不意に、後ろから小さな声が聞こえた。
振り向くと、ベットロールからすでに起き上がっていたキリトが眼に映った。
「お前、すごく
魘
(
うな
)
されてたぞ。怖い夢でも見たのか?」
そこ言葉を聞いて悟った。キリトは、俺が夢を見ている間に起きていたことを。
「別に。……何でもない」
心配そうに眺めるキリトに対し、俺は何事もない、という態度を取る。
しかし、それが意地を張ってることに気づかないわけでもないキリトが、押し迫る槍の如く問い質そうとする、
「何でもないってことはないだろ。あんなに
魘
(
うな
)
されてたのに……」
「何でもないって言ってるだろ!」
俺は思わず大声で叫んだ。
自分のことをわかってくれる人間なんて、この世にはいない。俺は永遠に闇を引きずるしかないのだから。その闇に他の誰かが巻き込まれでもしたら、俺に迷惑がかかるだけだ。
俺は自分の気を逸らそうと立ち上がり、歩き始めた。
昨日は考えつかなかったが、カブトに変身せずにこの穴からどうやって抜け出すかを再び考え始めた。動けば少しは頭の働きも良くなると思い、辺りの地面も見回しているが、雪に埋もれている地面の中に膨らんでいる場所を見つけた。
「あれは?」
俺はその場所に
赴
(
おもむ
)
き、雪をかき分け始めた。
俺がしばらくの間雪をかき分けていると、キリトが後ろから声をかけてきた。
「何掘ってるんだ?」
キリトは俺の掘る地面をジッと眺めていると、ハッと何かに気づいたように眼を大きく開き、突然俺を手伝い始めた。
「う〜ん……」
さわやかな香り
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