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Sword Art Rider-Awakening Clock Up
瞬殺
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箸を置く。

「現時点の材料だけで、《何が起きたのか》を断定することはできない。だが、これだけは言える。いいかね……この事件に関して絶対確実と言えるのは、キミらがその眼で見、その耳で聞いた情報だけだ」

「……最後に頼れるのは自分自身、ということだな」

「その通り。さすがだな、ネザー君」

ヒースクリフは、真鍮色(しんちゅういろ)双眸(そうぼう)で、首を左右に動かしながら3人を見つめ、更に言った。

「アインクラッドに於いて直接見聞きするものはすべて、コードに置換(ちかん)可能なデジタルデータである、ということだよ。そこに、幻覚幻聴の入り込む余地はない。逆に言えば、デジタルデータでないあらゆる情報には、常に幻や欺瞞(ぎまん)である可能性が内包される。この《圏内事件》を追いかけるのならば、眼と耳、つまるところ己の脳がダイレクトに受け取ったデータだけを信じることだ。先ほど、ネザー君の言う通り、最後に頼れるのは自分自身だけだ」

ごちそうさま、と最後に言い添え、ヒースクリフは立ち上がった。

謎めいた剣士の言葉の意味を考えながら、俺も席を立ち、出口のノレンを潜った。

前に立つヒースクリフを見ながら、……彼は、何者なんだ……、と脳裏で呟いた。











視界右下端の数字が、ちょうど午前2時を示した。

最強ギルドの1つ《聖竜連合》が、56層に華々(はなばな)しくギルド本部を構えたのは最近のことだ。血盟騎士団本部のある55層の1つ上なのは決して偶然ではあるまい。

アルゲードの転移門から移動したキリトは、街を見下ろす小高い丘にそびえ建つ忌まわしき飽食の館を睨み、呆れてものも言えなかった。《ホーム》というより、《(キャッスル)》あるいは《要塞(フォート)》というべき大仰(おおぎょう)さだったのだから。

アスナと俺のほうは特に感慨もないらしく、すたすたと赤レンガの坂道を登っていく。

銀の地に青いドラゴンを染め抜いたギルドフラッグが(ひるがえ)る白亜の尖塔(せんとう)(ぐん)を見上げながら、キリトはしつこくぼやいた。

「しっかし、いくら天下の聖竜連合様と言っても、よくこんな物件買う金があるよなぁ。その辺、血盟騎士団の副団長としてはどう思う?」

「まー、ギルドの人数だけで言えば、聖竜連合はうちの倍はいるからね。それにしたってちょっと腑に落ちない感じはするけど。うちの会計のダイゼンさんは、『えろう高効率のファーミングスポットを何個も抱えてはるんやろうなぁ』って言ってた」

「へええ」

因みに《ファーミング》というのは、大量のモンスターを高回転で狩り続けることを指すMMO用語だ。

「どうでもいいから、さっさとシュミットを連れいくぞ」

ギルド本部の形
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