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異世界に行ったら魔王の嫁になってた。
第一話 異世界に行ったら魔王の嫁になってた。
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長い間、追っていたんだ』
 神は悲痛な表情を浮かべながら口を開いた。
『この殺人者を僕らは、またしても僕らは、捕まえる事が出来なかった』

 少年は、あっさりと察した。今ここで話を聞いている自分なんかよりもよっほど、神の方が被害者なのだと。
 しかし、そこには触れないようにした。それよりも聞くべき事があるとばかりに口を開いた。

「そんなことよりも」

 だから少年は、会って30分も経っていない相手に、敢えて冷たく接する。

「僕が転生するのは、なんの種族なの?」

 だから神も、それ以上何も語らない。少しでも、この健気な相手に返してあげるように。

『君が望む種族だよ』

 少年は、即答した。



 お世辞にも、環境が良いとは言えない、空に浮かぶ月のみしか映えない不毛の地に建つ巨大な城。


 その巨大な城の呼び名は、魔王城。
 魔の全てを統べる覇者。闇の体現者。


 そんな呼び名を持つ“魔王”が住まう、恐怖の代名詞。

 その魔王城に、天から一筋の光が落ちてきた。



 ………………あ、ども。

 今回から視点固定の主人公、スズです。
 え?苗字はどうしたって?


 …………さぁ?


 まあ、そんなどうでもいい事をgdgd言っているのには理由がある訳で。


 あの日、僕がこの世界に転生した日、神にーさまに種族を“魔族”にしてもらい、“魔力”とやらで“魔法”を使えるようになったのだ。
 それで、調子に乗った僕は“魔力切れ”なんて考慮してなかった訳で。


 “魔力”を撒き散らしながら僕は、“魔王城”。より正確には、“魔王城の中庭でちょうど散歩してた魔王の頭上”に猛スピードで突っ込んでしまった訳です。

 頭と頭でごっつんこ。なんていう自体は免れたものの、ぶつかって倒れた拍子に魔王と…………き、キスをしてしまったのだ。


 当時はそれどころじゃなかったんだけど、よくよく考えてみたらソレがファーストキスだったんだよね。

 とか、そんな事を考えながら、ここがどこなのか丁寧に教えて貰っていた。
 で、それだけでも現実逃避したくなるのに、そこに“魔王”が、「妻になってくれ!」って叫んできたのです。


 おかげでこうして現実逃避させられてますよ、はい。


 これで現実逃避しない奴は人間じゃないね。あ、そう言えば僕は“魔族”になったんだっけか(遠い目)。
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