第一話 異世界に行ったら魔王の嫁になってた。
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『………な!“ハロハロラジオ”、そろそろお別れの時間だそうですリスナー!!それじゃ、また明日も見てくれよリスナー!!……………この放送は、コミカルマーケティング吉やs』プツッ
古ぼけたラジオから流れる、アメリカンナイスガイボブの声が唐突に途切れた。
如何にも眠たげな眼をゆったりと上げる少年が布団に入ったままラジオの電源を強引に切ったからだ。
ラジオが下に落ちた音を聞きながら、それでもなお、布団から出ようとしない。
「学校………」
布団に入ったまんま制服に着替えようとドッタンバッタンしていた少年だったが、やがて諦めたように布団の中で動かなくなり、寝息が聞こえ出した。
と。その瞬間に玄関のベルが鳴り響いた。
◇
「という夢を見たのさ!」
「へー」
騒音が飛び交う混雑しているホームで二人の少年が電車が来るのを待ちながら会話している。
「おいおい。なんだね、その“あーあ。また始まったよ厨二病乙!”って感じの返事は!」
「いやいやこれが普通だから。ていうか、なにが“という夢を見たのさ!”?君、何にも言ってないよね?」
「まったく、これだから最初に出てくるモブキャラはー」
「モブキャラ!?え、人の思考を止めないとモブキャラなの!?」
「そうだけど!」
「なんでキレてんだコイツ!?」
ぎゃーぎゃー喧しい会話を続ける二人組を、横目で見ていた少年は下らなさそうに息を吐いた。
「…………早く行って寝よう……」
大きな欠伸をしながらツン百パーの青空のが見える位置まで半ば足を引きずりがちに辿り着く。
「眠すぎワロター……」
汽笛が鳴り響くのを見ながら結構深めに作られた線路を見ながらぼーっとしていた少年は、いきなり前に出た。
少年は、後ろから押され、いつの間にか銀色のレールの上に、ぶち当たっていた。
「痛い」
少年ですら気づかないレベルの小ささで少年の口から言葉が溢れた。
少年が後ろを見ると、妙にニヤついた男がいた。
如何にも、“はい、私が押しましたけど?ねえねえ、今どんな気持t(ry”とでも言うかのような男だ。少年がその男に声をあげようとした時、横から体が浮くような感覚と衝撃が体を襲い、薄れゆく感覚で、少年はやっと、電車に轢かれたのだと思い至った。
少年は、全く聞こえなくなっていた。
さっきまで五月蝿かった人々の騒めきも。
耳元でキーキー喧しかった金属の擦れる音も。
何も聞こえなくなった。
あまりにも音が無い。即死だからか?と、不思議に思った少年が目を開けるとそこは、電車の下でもレールの上でも無かった。
何処までも続くような白い白い場所だった。
自分が立っているところも、天井すらも分からない。
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