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STARDUST唐eLAMEHAZE
第三部 ZODIAC CRUSADERS
CHAPTER#7
呪縛の死線 玲瑞の晶姫VS漆黒の悪魔U 〜Shallow Sleep〜
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んだから咄嗟に……
べ、別に(やま)しい気持ちがあったわけじゃあねーぜ。本当に、本当に」
「……」
 先刻の気勢が嘘のようにしどろもどろとなる男を見据えながら、
ティアマトーは感謝の気持ちを伝えるのが(やぶさ) かになる。
 そんな彼女の心情を察したのか、ポルナレフは放心している
ヴィルヘルミナの前にしゃがみこんだ。
「そ、それより怪我してるじゃあねーか!
ボサッとしてねーで応急処置をだなぁ〜!」
 そう言って彼女の破れたスカートを無節操に捲り上げる。 
 傷と一緒にフリルの付いた古風な下着が露わになると同時に、
無表情な彼女の平手打ちが高速で頬に炸裂した。
「グゴオオオオオオォォォォォォッッ!?
ち、違う! 変な意味じゃあねーってッ!
ちゃんと手当てしとかねーと後に傷でも残ったら」
「ありがとう……であります……」
「へ?」
 顔に赤い手の痕を残して必死に弁解するポルナレフの言葉が、
淑女の呟きで途切れた。
「本当に、ありがとう、であります。
もう、ダメだと、想ったので、あります。
本当に、終わったと、想ったので、あります」
 両手と両膝を床についたまま、譫言(うわごと)のように呟き続けるヴィルヘルミナ。
 意識があるのかないのか、果たして自分に向けた言葉かどうかも疑問だ。
 でも。
「い、いいって! いいって! 礼なんて!
肝心な時にオレァいなかった」
「フ、フフフ、フフフフフフフフフ」
 頬に赤い痕を残したまま両手を振るポルナレフが可笑しかったのか、
ヴィルヘルミナは曖昧な状態ながらも微笑む。
「どうして? そんなに、他人の事を、
気に、かけるのでありますか?
私の事を、自分の事のように。
まるで、 “アイツ” の、ようなのであります。
バカ、みたい。フフ、フ」
 陽光に風貌を照らされた何よりも優しい声でヴィルヘルミナはそう言い、
そのままポルナレフの広い胸にもたれかかってきた。
「お……」
「限界疲労」
 背に手を回そうか逡巡していたポルナレフをティアマトーがぴしっと(いまし) める。
「隠者招来」
「お、おぉ」
 甘い髪の匂いと一緒に告げられる指示に戸惑いながらも応じる。
 ポケットから取り出したシルバーのスマホを弄りながら見た、
無防備な彼女の寝顔。 
 ソレは、本当に幻想世界の眠り姫にしか、彼の瞳には見えなかった。 


← TOBE CONTINUED…




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