第三部 ZODIAC CRUSADERS
CHAPTER#7
呪縛の死線 玲瑞の晶姫VS漆黒の悪魔U 〜Shallow Sleep〜
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【1】
「ふむ、そうじゃ、シンガポール駅からインドへと続く
列車の切符を6枚手配してもらいたい。
む、そうかそうか、いつも無理ばかり言ってすまんのぉ〜。
んん? いやいや、こちらもそう言ってもらえると……」
落ち着いた雰囲気の部屋に、談笑混じりの声が流れる。
リクライニングチェアーに身を預けたジョセフが、
慣れた口調で交渉を進めていた。
通話先の人物も急な要請に不快感を表す事なく、
協力的な態度で応じている。
「む、それで何なのじゃ?
“折り入っての話” とは?」
そこでジョセフは姿勢を起こしテーブルのカップを口に運ぶ。
「何? “助っ人!?” 」
想わず手にしたコーヒーを落としそうになったジョセフは、
焦りながら電話の子機を持ち直す。
「う、うむ。確かにDIOの配下が何人いるか解らぬ以上
こちらとしては有り難い話ではあるが、
しかし “アイツ” が大人しく言う事を聞くかどうか……
何? 違う? ソレとは別の 『スタンド使い』 !?
人間なのか!? 」
眼を見開いたジョセフへ更に唐突な申し出が告げられる。
「なんと! もう “コッチ” に向かっているのか!?
うむ、いやいや、DIOの能力と我々との血統の繋がりを考えれば当然の処置だ。
しかしその本人は、この旅の目的に同意しているのか?
……ふむ、ふむ。そうか。本人達ての希望のぉ」
ジョセフはそこで瞳を閉じ、様々な思考を巡らせた。
「解った。取りあえず逢うだけは逢ってみよう。
他の皆にも伝えねばならぬし、ワシの一存では決められん。
ただその、スタンドの “天才” という言葉だけは覚えておこうか」
そう言って通話を切ったジョセフは、一度深い息をつき
若干冷めたコーヒーを口に運ぶ。
それから、彼の部屋の電話が鳴ることはなかった。
「……繋がらないので、あります」
「断線?」
前もって伝えられた番号を幾ら押しても、
無機質な回線音が響くだけで通話になる気配はない。
まさかすでに敵の魔の手がジョセフに向かったのか?
考えるよりも速くヴィルヘルミナは応急手当も忘れ飛び出していた。
「ぐぅッ!」
傷口が血を吹き出し激痛が脳幹を劈くが
ソレに屈する甘さを彼女は自分に赦さなかった。
しかし。
「開かない、のであります」
「正真!?」
その気になれば鉄球をも粉々に砕き潰す程の力で掴まれたドアノブが、
形を歪める所か回らずに固定されている。
得体の知れない、怪奇なる現象。
心なしか、躰が重くなったようにさえ感じる。
足下を、否、空間全体を、ドス黒いナニカが充たしていく。
「……」
警戒心を切らす事なく淑女が振り向いた、先。
『……』
吊り下げられたシャン
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