第14話 一夜明けて
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夜が明けてからの朝方の各テレビ局のニュース番組や各新聞社の新聞では、昨夜に起きた川神市と冬木市の異常を伝えていた。
『謎の集団催眠』『川神院も遂に堕ちたか!?』『異常に慣れている現地住民の落ち着き方が逆に不気味』『九鬼財閥極東本部はどう動く!?』
などと言う見出しが載っている。
それを何時もの時間通りに朝食を取っている士郎達が見ていた。
「川神院も遂に地に落ちたか!?とは、このテレビ局は随分と言い度胸してる。なあ、若?」
「そうですね。視聴率狙いとは言え、後が怖そうだと思わないんでしょうか?」
「あのニュース番組のプロデューサーは元々、反川神院派の人間だ。このところはダメージを与えられそうな情報が無かったから最近は大人しくしていただけで、今回の様な事があればと虎視眈々としていただけなんだよ。父親も大物政治家だしな」
皮肉気味に冬馬達に説明しているが、士郎は関東圏以外の事も既に把握していた。
今のところ国内で騒ぎになっているのは関東圏のみであり、海外では報道もされていなかった。
しかも意外と思えることが2つあり、世界のトップリーダーを自称するアメリカが何も言ってこない事と、顔が見えないので言いたい放題のネット内でもあまり取り立てされていないのだ。
詰まる所――――。
(これは隠蔽工作による情報操作だ)
確かに藤村組も自分達に火の粉がかからないようにと、事前にマークしていた各テレビ局の上層部の幹部数人に釘を刺すなどしている。
だがこんなにも早い段階で段取れるのはあくまでも関東圏内のみであり、それ以外は厳しいのが現状で、出来ない事も無いが時間がかかる。
――――では何所が?と思う。
ロンドンにあった魔術協会総本部の時計塔を即座に消去する。
あそこは既に一世紀以前に解体されている。潰したのは聖堂教会だが、当時の聖堂教会の主は西欧財閥の盟主の一族であるハーウェイ家だ。
だが未だ残党がいるのではないかと士郎は疑っている。だとしても情報操作できる余裕などは無いだろう。
――――では時計塔を潰した西欧財閥の盟主、ハーウェイ家が?
西欧財閥については情報をあまり持っていないので判らない。
――――では同格の財閥である九鬼か?
可能性としてはあるだろう。九鬼従者部隊の永久欠番に序列一・二・三位の4人は魔術の事を知り得る者達だ。
そして彼らはこの地で武士道プランなるものを発動させたがっている。
ならばこの地の安定を図ろうとしてもおかしくは無い。
しかし確信できるだけの情報も無い上、その様な危険な橋を渡るとも思えないので保留。
後、士郎の心当たりと言うか予想し得るのは一つだけしかない。
(切嗣が言っていたマスターピースだけだな)
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