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色を無くしたこの世界で
第一章 ハジマリ
第14話 VSジャッジメント――違和感の正体
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っているんだ」
「消滅って……? 死んじゃうって事……?」

 そうフェイが尋ねると、アステリは「ううん」と首を横に振った。

「イレギュラー……もとより、色の無い【モノクロ世界】には『命』と言う概念が存在しない。だから、『死ぬ』と言う表現は正しくないんだ。」
「命が……無い……?」

 命が無いとはどう言う意味だろうか。
 命が無ければそこに存在する事自体出来ないだろうに……
 話を聞けば聞く程、困惑した表情を見せる天馬とフェイに、アステリは「ごめん。難しいよね」と苦笑いをする。

「とりあえず、そんな難しい話はあとでゆっくりするとして……今は、本題に戻ろうか。ハーフタイムも十五分しか無いしね」

 本題とは、『なぜカオス達の動きが急に鈍くなったのか』の事だろう。

「ボク等、イレギュラーにとって色と言う存在は毒と同じモノ。ボクやカオスの様に、色のある世界でも存在出来る“特別”なイレギュラーは、毒に対する免疫力を持っているから大丈夫……なんだけど……」
「だけど……?」
「……いくら免疫力があるから大丈夫だって言っても……長時間、色――毒に触れ続けていれば身体はジワジワとダメージを受け続ける」
「! じゃあ、カオス達の動きが鈍くなったりしたのって……!」

――長時間、色のある世界にいたせい……

 天馬の次の言葉を感じ取ったのか、アステリは頷くと「キミが想像している通りだよ」と言葉を並べた。
 フェイも同じ事を考えていたのだろう、一瞬、目を見開いて驚いた様子を見せると、すぐさま複雑な表情をして何かを考え込んでしまった。
 と思うと、今度は「あれ」と怪訝そうな顔をする。

「フェイ。どうしたの?」
「うん……あのさ。カオスも君も、そのイレギュラーって言う種族で、しかも同じ特別な部類に入るんだよね?」
「うん」
「じゃあ、カオスと君は全く同じ種族の存在って事だよね?」
「まぁ、全く同じって訳でもないけど……大体は一緒かな……」

 「そんな事聞いてどうしたの?」と尋ねるアステリに「じゃあさ」とフェイは言葉を続けた。

「……どうして、君は平気なんだい?」

 フェイの問いに天馬も「あっ」と何かに気付いた様な声を上げた。
 アステリの話を聞く限り、カオス達の様子が可笑しいのは色のある世界に長時間いたせいだと言う。
 だったら、同じ種族……ましてやアステリはカオスよりも先にこの、色のある世界に来ていた。
 時間にしてみればアステリの方が多少だが、その『色』に触れている時間が長いはず。
 それなのにアステリは試合中、普通にプレーをしていた。
 今もどこも可笑しい様子は無い。
 「どう言う事だ」とアステリの方を見る。

「………………」
(……え……?)

――アステリ…
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