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色を無くしたこの世界で
第一章 ハジマリ
第11話 VSジャッジメント――覚醒するソウル
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! テンマーズ、同点ならず!』
「くそっ!」

 悔しがるフェイを嘲るように笑うと、アビスは中盤のデルタにロングパスを放った。
 そこを見逃さず、天馬はブロックへと入る。

(よしっ。ここは《スパイラルドロー》で……)
「先ほどの様に行くと思うなよ」
「!」

 まるで天馬の心を見透かしたかの様に囁いた直後、デルタは黒い光に全身を包み込む。
 光が弾け、そこから姿を現したのは一匹の巨大な《黒い豹》だった。

「!? ソウルまで……?!」

 ソウルを発動したデルタは、脅威的なスピードで天馬を――そしてブロックに入った他のメンバーを切り裂くように突破していく。

『ソウル《クロヒョウ》を発動したデルタ選手! 凄まじいスピードでテンマーズ陣内へ切り込んでいきますっ!!』

「くそっ…! 早すぎてデュプリの操作が追い付かないっ……!」
「こんな攻撃くらいでバテちゃうなんて……しょせん、そこが君達"人間"の限界って事だったんだよ」

 焦りの表情を見せながらそう言葉を発するフェイを、カオスは馬鹿にする様に笑っている。

――? “人間”……?

 不意に天馬の中である疑問が浮かんだ。
 
――もしかして、カオスは“人間”では無いのか……?

 今までのカオスの発言や行動を振り返ってみると、明らかに常人とは考えられない様なシロモノばかりだ。
 特にジャッジメントのメンバーを生み出した時の行動。
アレほどの怪我と出血をしながら、今彼はピンピンしている。

――でも…人では無いとしたら一体何だ……?

「カオス様っ!」
「!」

 そんな事を考え始めた所で、天馬は我に返る。
 目の前ではパスを受け取ったカオスが猛スピードでゴールに向かって走っていた。

――マズイ……っ

 咄嗟に守備に回ろうと走り出す、が。

「カオス様の邪魔はさせない」
「! っ……」

 目の前に現れた二人の選手に行く手を阻まれ、身動きが取れない。
 こうしている間にも、カオスはどんどんゴールへと近づいていく。
 デュプリ達も必死にカオスを止めようと動くが、次々に吹き飛ばされ倒れてしまっている。
 グラウンドの反対方向を見ると、フェイも同じ様に二人の選手にマークされてしまい、動けないでいた。

「くそっ……!」

 どうにか、抜け出せないモノかと動いて見るが、二人の選手がピッタリと張り付き、一瞬の隙も見せない。
 ふと、天馬の視界にカオスの前に立ちふさがるアステリの姿が映った。
 アステリはカオスからボールを奪おうと食らい付くが、実力の違いからか簡単に吹き飛ばされ、突破されてしまう。
 自然とアステリの身体に、吹き飛ばされた時に負ったであろう傷が増えていく。

――このままじゃ
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