第一章 ハジマリ
第9話 血
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ろう」と疑問に思ったが、それもその時だけで、結局は自分に関係の無い事。
今の今まで気にさえ止めていなかった。
だけど……
(まさかこんな間近で見る事になるなんて……っ)
カオスは大きく天を仰ぐと「さてと」と息を吐きだし、呟く。
地面にはカオスが流した血で小さな血溜りが出来ていた。
「じゃあ、僕の仲間を紹介するね……っ」
「!」
そうカオスが囁くと小さな血溜りがグツグツと煮え立つ様にうごめき出す。
「!? 何!?」
グツグツとうごめき出した血は複数に分裂し、大きさを変えると、二対の手足や人の頭部の様な物を生やす。
呻き声をあげながら最後に色を変えたソレは、まさに天馬達と同じ"人間"そのモノだった。
「これが僕のチーム。【ジャッジメント】のメンバー達だ」
狂った様に目を見開くカオスの後ろには、血から変化した十人の男女が立っていた。
男女の姿は様々で、共通で皆、異様な装飾品を顔や頭につけている。
「血が人に……っ」
「血が人に変化する」そんな異常な光景を見続けた天馬は真っ青な顔をしながら、震えた声でそう呟く。
「これなら文句はないだろ? 実況者ちゃん」
出血も治まった血だらけの左腕に包帯を巻くカオスは、天馬の後ろに隠れるアルに向かってそう言い放つ。
「! あ、は、はいっ! 問題ないですっ!」
そう、慌てた様子で天馬の後ろから出てきたアルの顔色は悪かった。
そりゃそうだ。天馬達でさえこの状況。
彼等より明らかに幼いであろう少女が、こんな残酷で狂った光景を見て平気でいられるはずがない。
それでもやはり実況に対してのプロ根性か、「大丈夫?」と心配する天馬をよそに、アルはスタジアムに設置された実況ルームへと走っていった。
「さぁ、五月蠅い子もいなくなったし試合を始めようか」
「っ……」
不敵な笑みを浮かべるカオスを相手に、天馬は、さっきまで薄れていた不安がまた強くなるのを感じた。
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