第一章 ハジマリ
第9話 血
[2/3]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
ルの言葉にカオスはフフッと笑うと、地面に着地する。
「メンバーなんていらない……って言いたい所なんだけど……それじゃあルールに違反しちゃうから……」
そう言うと、カオスはどこからか不気味な瞳模様の付いたカッターナイフを取り出した。
何をするのかと自然と身を構える天馬達をフッと嘲笑うと、カオスは「そんなに身構えないでよ」と持っていたカッターナイフの刃を出す。
「コレで危害をくわえたりしないよ。君等へのお仕置きは試合で……今は、僕の仲間を呼ぶ為だから」
「仲間……?」
そう左手首に巻いていた包帯を外していくカオスを天馬達は見つめる。
シュルシュルと包帯が外れ、今まで隠れていた左腕があらわになる。
瞬間、天馬の全身から血の気が引く。
彼等が見たのはカオスの左腕。
――――それも、無数の切り傷を付けた。
「っ……!?」
カオスの左手首は両手で数えられない程の量の切り傷が並び、傷のせいか手首自体が赤黒く変色してしまってる。
初めて見る酷い傷跡に言葉が出せないでいると、カオスが「ビックリした?」と問いかけてきた。
青ざめた顔のままカオスを見ると、彼は不敵に笑いながら「でも、これ位で驚かないでよね」と呟き、右手で持っていたカッターナイフを左手首に押し当てる。
瞬間、とても嫌な予感が天馬を襲い、そこから連想される情景に身を震わせる。
「! やめっ――」
「じゃあ……紹介するね……。僕のもう一つの力を――――」
そう言うとカオスは押し当てたカッターナイフで
――――手首をおもいきり切り裂いた。
「なっ……!?」
「ひっ……?!」
その場にいた全員が驚愕の声をあげる。
切り裂いた手首からは血が溢れ、カオスの腕を流れていく。
それがグラウンド上に落ち、生々しいシミになる。
それなのにカオスは苦しそうな顔一つせず、不敵に笑い続ける。
「何をして……っ!?」
フェイが動揺した声で叫ぶ。
よく見るとアステリも驚きのあまり自分の手で口を覆ってるし、アルに至っては恐怖からか天馬の後ろに隠れてしまっている。
カオスはフェイの問いには答えず、流れる血を見ながら笑い続ける。
それを見て、天馬の背筋は凍った。
誰しもが聞いた事くらいあるだろう“リストカット”。
自分に対する嫌悪感や不安、周囲に対しての怒りや寂しさから逃げる為――耐える為、自分で自分の身体を傷付ける自傷行為。
傷付ける部位は人によって違い、その部位によって名称も変わっていく。
最近ではニュースや学校授業でも取り上げられる程、世間に知れ渡ってしまったその行為の事を天馬も知っていた。
きっかけは学校での授業だった。
当初は「なぜ痛い思いまでしてそんな事をするのだ
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ