暁 〜小説投稿サイト〜
仮面ライダーAP
第一章 鉄仮面の彦星
番外編 アウラの門出
[4/6]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
の直後である。

 ◆

 今日の主役であるアウラの登場に、人々は大いに沸き立っていた。特に人だかりの最前列を占める同期の女性陣は、一際激しく黄色い悲鳴を上げている。

「キャァアァアッ! アウラ姫様ぁあぁあ!」
「アウラお姉様ぁあぁあっ!」
「素敵ィイィッ! アウラ様こっち向いてぇぇえぇッ!」

 その迫力は周囲の男性陣や報道陣を圧倒する勢いであり、誰も彼女達を阻むことはできずにいた。――その時。

「……!」
「――初任務の地球派遣。ご武運をお祈りしますわ、アウラさん」

 苦笑を浮かべながらギャラリーに手を振りつつ、宇宙艇へ乗り込もうとしていたアウラの背後に――艶やかな声が響く。その声を耳にした彼女は、ハッチに伸ばした手を止めると、静かに後ろを振り返る。

「……今日は千客万来ね」
「あら、わたくしやあちらの方々の他にも誰かが? ふふ、さすが人気者ですわね」

 そこにいたのは、もう一人の同期。かつて首席の座を争い、共に競い合ってきたライバル――ジリアン・アルカンジュ・ビーズ候補生。彼女もまた、次席で宇宙刑事過程を修了したエリートであり、とある惑星の姫君でもあった。
 ポニーテールに纏め上げたブラウンの髪は、優雅に首を振る彼女の動きに合わせて艶やかに揺れる。決してアウラに引けを取らない美貌や白い柔肌、抜群のプロポーションを持つ彼女は、アウラに次ぐ人気を誇っている。その人気の秘訣は、男勝りなアウラとは対照的な、高貴な女性らしい振る舞いにあった。

「キャーッ! 見て見て! ジリアン様まで来られたわ!」
「あぁ……あのエレガントな立ち振舞い……素敵ですわ、ジリアンお姉様……」
「……お前ら一体どっちのファンなんだよ」
「ハァアァ!? 決まってんじゃないバカ男子ども! 両方よ両方!」

 そんな女性陣の昂りを尻目に。アウラ以上の胸をぴっちりと密着させた緑色のポリスアーマーを纏うジリアンは、穏やかな笑みを浮かべて戦友を見つめている。
 アウラもまた、そんな親友の姿を前に頬を綻ばせていた。

「人気って……もぅ。みんな勝手に盛り上がってるだけじゃない。たまたま女の私が首席になったくらいでさ」
「あら。首席なんて、たまたまでなれるような甘いものではありませんのよ? これでもわたくし、訓練の時は全身全霊の本気でしたのに」
「それにしちゃ、随分晴れやかな顔してるわね」
「全身全霊の本気だからこそ――ですわ。自分自身に悔いを残さない全力だったからこそ――前を向けるものですのよ」

 そうして他愛のない言葉を交わし――ジリアンの瞳が、アウラを地球へと運ぶ宇宙艇を映す。

「……地球派遣。先を越されてしまいましたわね」
「――そっか。確かジリアンのお母様も、地球には縁があったのよね」
「ええ。母
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ