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銀河英雄伝説〜新たなる潮流(エーリッヒ・ヴァレンシュタイン伝)
第百七十九話 雷鳴
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ルヒアイスだな」
俺の言葉にミッターマイヤーが頷いた。クーデター発生後、キルヒアイス准将から別働隊総旗艦ブリュンヒルトには二度連絡が入っている。一度目はヴァレンシュタイン元帥生死不明の重態、二度目の連絡は騒乱は小規模なものに止まる模様……。
ホルスト・ジンツァー准将の言葉によればキルヒアイスからの二度目の連絡が有った後、フロイライン・マリーンドルフとの口論をオーベルシュタインは一方的に打ち切り口を閉じた。
ジンツァーがローエングラム伯の幕僚になっていたのは俺達にとって幸運だった。ジンツァーはフロイライン・マリーンドルフを信頼できると判断したらしい、口論の後、密かに彼女に相談し事の経緯を各艦隊司令官に話すべきではないかと提案した。
おそらくジンツァーはオーベルシュタイン、キルヒアイスの言動にかなり危険なものを感じたのだろう。場合によっては俺達の手でローエングラム伯を止めることになるかもしれないと考えたのかもしれない。
一方フロイライン・マリーンドルフにとってもジンツァーの提案は渡りに船だった。彼女自身、最悪の場合は俺達にローエングラム伯を止めてもらう必要があると考えていた。
しかし彼女は俺達艦隊司令官とは余り接点が無い。信頼の無い自分が話して何処まで信じてもらえるか不安が有った。最悪の場合、ローエングラム伯を誹謗したとしてオーベルシュタインに排除されかねない。
幸いジンツァーはベルゲングリューン、ビューローと親しかった。そしてベルゲングリューン、ビューローは俺とミッターマイヤーを信頼している。後は俺達からワーレン、ルッツ、ミュラーに話してもらえばいい、そう二人が結論付けるまでそれほど時間はかからなかった。
フロイライン・マリーンドルフの聡明な所は、直ぐに行動に移そうとしたジンツァーを止めた事だろう。彼女は騒乱が小規模であること、艦隊がとりあえずは辺境に向かっている事で、司令長官の容態がはっきりするまでは俺達に伝える事を抑えた。俺達が事の経緯を聞いたのは昨日の事だ。
騒乱直後の時点で聞いていれば、不安と焦燥から何が起きたかは分からない。特にミュラーは、司令長官重態の報に恐ろしいほどに動揺していた。フロイライン・マリーンドルフの配慮は正しいだろう。司令長官の推薦でローエングラム伯の幕僚になったと聞いていたが、確かにただのお飾りではない、信頼して良い人物のようだ。
話を聞いた後の皆の表情は疑心と不安に満ちていたと言って良い。誰も積極的には話さなかった、話せることではなかった。皆の間で一致した事はジンツァーに対してフロイライン・マリーンドルフとの連携を強める事、その一方でそれをオーベルシュタインに絶対に知られないようにする事だった。そして俺たちとの連絡をこれまで以上に密にする事……。
「司令長官は如何思
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