343部分:第四十七話 北の大地その一
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第四十七話 北の大地その一
北の大地
まずはソ連に降り立った七人の聖闘士を出迎えたのは。その寒さであった。
「やっぱりそうでしたね」
「噂通りですね」
マクベスとキラが先頭にいるカミュに対して言ってきた。まず彼等はレニングラードにいた。そこはソ連第二の街であり北海の経済の中心地である。
フランス風のオレンジや白の建物が立ち並び無数の運河が街を走りそこには船達が通っている。そして街はその運河をまたぐ橋もありそれがまた街を飾っている。実に美しい街であった。
「この寒さはやっぱり」
「ロシアですね」
「けれどな。俺達にはな」
「それ程辛いものじゃないな」
今度はシュミットとパラオが言ってきた。見れば彼等はかなり分厚い帽子とコートにその身を包んでいる。それはまさにロシア人そのものの格好であった。
「聖闘士になる時の修行を思えばな」
「こんなものじゃなかったからな」
「そうだな」
彼等の言葉に対してカミュが応えた。彼もまた帽子にコートで全身を覆っている。
「まだシベリアの寒さに比べればな。この程度のことは」
「問題ないんですか」
「ここ北極圏ですけれどね」
「それでもだ。まだ人が住める」
それは確かにその通りであった。レニングラードはロシア第二の都市である。それだけの人口がいるのもまた事実なのである。
「この街はな」
「かなり北にありますけれどね」
「それでもですね」
人口が多いのは事実だった。なおこの街は帝政ロシアの時代にはペテルブルグ、第一次大戦中にはペテログラードといって国の首都でもあった。
「人は多いですよね」
「賑やかなものです」
そのレニングラードを歩きながらの言葉であった。
「この街は」
「活気がありますね」
「その活気のせいでまだ暖かい」
カミュは人の熱気も頭の中に入れていた。
「まだな」
「そうですか。それもありますか」
「それでまだ暖かいんですね」
「そういうことだ。さて、それではだ」
カミュはここで六人の聖闘士達にあらためて声をかけてきた。
「コムに向かう前にまずは英気を養うとしよう」
「英気っていいますと?」
「あったまりでもするんですか?」
「そうだ。まずは食事だ」
食べるというのである。
「コムに向かう前にな」
「それじゃあわかりました」
「けれどソ連での食事っていいますと」
彼等もおおよそ察しのつくことだった。ソ連での食事といえばだ。
「ロシア料理ですよね」
「それですよね。やっぱり」
「そうだ」
やはりそれであった。カミュの返答には何の淀みもなかった。
「いいな、それで」
「ええ、ロシア料理もあったまりますしね」
「それじゃあ」
彼等にも異論はなかった。彼等もソ連
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