先恋〜コレ恋?〜
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朝からどうもおかしい。陸太は校内で何度も挨拶をしてくれているのに、此方からは素っ気無くしてしまう。陸太も沙奈にどう接すれば良いのか分からず、戸惑っていた。
「瑞木先生…」
「あ、うん、また後でね」
何故こうも上手くいかないものだろう?何故避けてしまうのだろうか?自分が不思議で仕方無い。陸太が戸惑っている事も、自分が何かしたのではと不安に思っている事も分かっていた。しかし、陸太の顔が見れない、声を掛けるどころか、言葉を交わすことさえ出来ない。それが何故かは分からなかった。避けまいと決め、避け、後悔をする繰り返しだった。
(でも…このままじゃ…)
陸太を避けるのは、校内だから出来ることだ。部活動時は、顧問として避ける訳にはいかない。アドバイスすらしない様では、部員に良い記録を出すなと言うのと同じ様な事ではないのか、それは許されない、だが、この状態でどうすれば良いものか、ただ、気不味い雰囲気が漂っているだけだ。
(どうしたら…)
沙奈が頭を悩ませながら職員室へ向かっていた時、強い衝撃を受け、後方へと身体が引かれた。
「??????」
頭が飛んで行くのではないかと思う程の衝撃の後、誰かに支えられ、バランスを立て直す。
「な、何??」
後ろに立っている人物を睨む様に振り返ると、
「あ、すみません、先生」
「……陸太君…」
沙奈が視線を外す。
「…何?」
また、素っ気無くしてしまう。どうすれば良いのか…分からない。
「えっと…あの!僕…先生を傷つけてしまったんじゃ無いかと…不安で…」
陸太は不安を抱きつつも、真っ直ぐ沙奈の瞳を見つめていた。自分を傷付けてしまったかもしれないと思い詰めている陸太を見て、沙奈は息苦しくなるほどに胸が苦しくなった。
「…ゴメンね、春先君は何も悪く無いんだけど…ちょっと、考え事してて…」
「僕で…僕で良ければ、何か…」
「…うーん…でも…」
「あっ、そうですよね、すみません??」
陸太が自分にどう接して良いか分からず、迷っている事だけは分かっていた。とは言え、この何とも言えない気持ちをどう表せば良いものか……と、そこで沙奈の脳内に一つ案が浮かぶ。
「あの…ね、実は…この前、中学時代のお友達に会ったんだけど…」
「……?」
「…なんか…ね、恥ずかしくて顔が見れなくて、どうやって話したら良いか分かん無くなっちゃって…」
「成る程…?」
「話しかけるのが恥ずかしくって、目も見れなくて…何か…ね、」
「そうなんですか…」
「うん、そんな事考えてたから…ぼーっとしちゃって、ゴメンね?」
「先生、それ…」
陸太が沙奈を見つめる。沙奈が陸太を見る、と、陸太は言っても良いものかという顔をした後、ゆっくり口を開いた。
「…恋…ですよね?」
「…ん?」
「だから、恋、ですよね?」
「恋
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