第2章:異分子の排除
第36話「事件が終わって」
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」
「さー君から聞いてるでしょ?君の父親から助けてほしいと頼まれたって。」
「....うん...。」
あまり娘として接せずに、しかし不器用ながらも娘を助けようとした父親。
その事を思い出し、シャルは胸が締め付けられるような想いになった。
確かに自分は助かる。しかし当の父親はそのままデュノア社に残っているのだ。
「...ボクを助けてくれたのは確かに嬉しいです。...けど、お父さんが...。」
「自信を犠牲にして君を助けようとしたのだから、むしろ後悔している方が失礼になると思うよ?」
「そう...ですけど...。」
それでも気分が晴れないシャル。
結果的に自分だけ助かってしまったのだから、そう思っても仕方がない。
「...しょうがないなぁ...。」
それを見て、束は指を鳴らす。
部屋の前に誰かいたのか、それを聞いて何か動きを見せる。
「....?」
「どんでん返しみたいだけど、こっちの方がいいでしょ?」
どういうことか意図が汲めないシャルを他所に、部屋の前から話し声が聞こえる。
「いつまでヘタレてるんだよ!折角会えるんだから早くしろ!」
「し、しかし...。」
「あーもう!自分を犠牲にする覚悟が踏み躙られた事は同情するけど、お前が会えば丸く収まるんだ。とっとと会ってこい!」
そんな声と共に、扉が開け放たれ、誰かが蹴られるように部屋に入ってくる。
「....おーちゃん、元とはいえ、その人って社長...。」
「....え...?」
結構乱暴しているなと、束はその人物を部屋に押し込んだオータムに対して思った。
そして、シャルはその入ってきた人物に驚きを隠せなかった。
「お父...さん....?」
「...シャルロット....。」
互いの事を呟くように言う。
感動の再会のように見えるが、片方は蹴り入れられたため、倒れこんだような体勢になっているのでややシュールだ。
「ほら、ハインリヒさん。いつまでも寝そべってないで座って座って。」
「...君の社員に蹴られた結果なんだが...。」
「もっと堂々としてればよかったんだよ。」
とりあえず束はシャルの父親...ハインリヒを立たせてシャルの隣に座らせる。
「さてと、さすがに戸惑っているだろうから、説明するね?」
「あ、はい...。」
対面に束が座り、ようやく話が始まる。
「まぁ、知っていると思うけど、デュノア社は私たちが潰した。...これは分かるよね?」
「...はい。」
束の言葉にシャルは頷く。
ハインリヒは事情を知っているので、口を挟まないようだ。
「...で、君が一番疑問に思ってい
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