覚醒した者
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ます…)
「あー、あの子ですわ。心に直接語りかけてくるの、母さん本当にやめてほしいの!ほんっと無精者なんだから!!」
「もう黙れ無礼者!!……はい、須藤は俺ですが」
宙に浮く男は、閉じた瞼をゆっくり上げた。俺の方を見ないが、彼には俺の姿がはっきり見えていることは察した。
(混沌の只中、人々に救いが必要な時代に、私は降りてきます…)
「――ええ、そういう感じの方だとは思いました」
(ですが)
「はぁ」
(降りたら救える、そんなシンプルな時代ではないことを今…痛感しております……)
「と、いうことは…」
(降り損、でしょうね…)
「…なんだそりゃ」
(そして両親は…心に直接語りかけて事情を説明しましたが…)
「まーたぐっちゃぐっちゃ難しいこと言って母さんたちをケムに巻こうとして!!そうはいかないわよっ!!」
(……このような…状況です…)
「お、おう…」
(今回は救世ではなく修行の為の降臨だったのだと…割り切ろうとしましたが…彼らが私が部屋から出られないことに痛痒を感じているのだとしたら…この状況はもう、好ましくない…)
「――お互いに、ですね」
俺は彼の意向を全て理解した。
そして現在、『彼』は俺の部屋の隅で浮いたり光ったりしている。
(あなたの心に…直接、語りかけているのです…)
「はい、はいはい、ピーコの餌ですね」
(燕麦は少なめに…そして古い小松菜は速やかに差し替えるのです…)
食事も風呂も要らないし費用が掛かる訳ではないので、しばらく俺の部屋に居候させることになった。いずれ信頼出来る上役にでも相談して彼の身の振り方を考えようと思う。
いい匂いするし食費も要らないし、生活面では全く問題はないのだが、うちのセキセイインコの世話に関する指示が異様に細かいのだけは閉口だ。それに俺のことを『第一使徒』とか呼ぶのもエヴァみたいなのでやめてほしい。
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