覚醒した者
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」
「―――風呂も、洗濯も」
「あ、あ、あそういえばあの子全然洗い物出さないわ!それもきっとコンビニね!」
よく分からんことはコンビニ任せ…。なにこの親怖い。
「食事もクリーニングもコンビニとなると、相当な出費となりますが、お金を財布から抜かれたり、とか」
「そ、それは……コンビニで働いてるのかしら」
収入もコンビニかよ!なら云わせてもらうぞ!!
「……なら帰らせてもらいます」
「え?え?何で?息子を更生してくれるんじゃないの!?」
「ご自分で稼ぎ、食事を用意し、風呂も洗濯もまかなっている。…これは立派な、自立した大人ではないでしょうか。私の仕事は自立できない引きこもりの更生。こんな立派に自立されている方に、私は必要ございません」
俺は努めて笑顔を保ちながら、そそくさと荷物をまとめた。…別にこの無神経な親にムカついたとか、そういうこと『だけ』じゃない。彼はまぁ…どう考えても『あれ』だ。数千年前ならばともかく、今更出現されても俺どうしていいのか分からない。
だってこれ、引きこもらせておくしかないだろ!?大騒ぎだぞこんなのが街中に現れたら!!
「ちょ…嘘!うそうそ嘘です!!ここ数年部屋から出てきてないって!!」
「そぉーうなのよー!!出してくれないと困るのよー!!あの子ほんっと強情なんだから!!」
今度は息子をほっぽり出して俺を羽交い絞めにし始めるアホ二人。嫌だよもう関わりたくないっていうか絶対に関わるものか…こんなややこしい案件、西暦始まって以来初だぞ!?これ以上関わってたまるか!!
「何でも強情とコンビニのせいにしてりゃいいだろうが!!あの子多分大丈夫だよ、飯食わなくてもあんたらが死んでも変わらずあの場所で浮いてるし誰も何も困らないよ!!それとも何か、あの子追い出して物置部屋にでもしたいのか!?」
「嫌よ出してよ!世間体が悪いのよ!!」
「出してどうする!?世間体どころじゃ済まない大混乱が待ってるぞ!!」
「何云ってるのか分からない!全く分からない!!連れて行ってよ!ほらなんかドキュメンタリーとかでやってる感じで!!」
「嫌だよ『彼』にそんなことしたら人生2〜3回じゃ償えんレベルの業を背負うだろうが!!ユダとかロンギヌスとかと同じレベルで須藤って名前が残る案件だよ!!」
「あんたもう何云ってんのか分かんねぇよ!!」
さっき背広の袖がほつれる音がしたが背に腹は替えられない。俺は尻尾を振り切るトカゲのように思い切りよく腕を抜く。プキピピピと嫌な音をたてて袖が破けた。
(須藤……聞きなさい、須藤)
へ…?
「い、今俺を呼んだのは…あんたらですか?」
「何を今更!!呼んだから来たんでしょう!?」
「違う!今俺の名前を呼んだ奴だ!!」
(須藤…あなたの心に…直接…語りかけてい
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