第12話 誰の為に僕は動く?
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われるんよ」
「は、はぁ」
「どうしたん?その気の乗らない返事は。あの子達の"手伝いをしている"からもっといい反応来るかと思ったんよ?」
ガタタタンッ!!と椅子を引きずる音を立てて立ち上がったのは目の前に座る凛と花陽。
実を言うと、僕が?’sのお手伝いをしているなんて事は花陽と凛。特に花陽には時が来るまで話さないって決めていたのだ。
何故なら...
「な、なんで春くんが!?もしかしてまた誑かしたのかにゃ!?それはりん、許さないよ!?」
「説明してください春人くん!音ノ木坂学院に新たに出来たスクールアイドル"?’s"は創立者の高坂穂乃果さん、弓道部のエース園田海未さん、そして家庭科教師イチオシの才能を持つ南ことりさんの3人で結成されたアイドルグループで今度行われるファーストライブに絶対行きたいんですねぇ春人くん聞いてますかねぇー!」
こうなることをわかっていたからだ。
日常。
僕は苦笑いして軽く流すという偉業を成そうとしたけど、テーブルを大きく叩いて接近してきた花陽から視線を外すなんてできるわけなかった。
キラキラ輝いた瞳の中に少し汗をかいた僕がいる。
「モテモテやんなぁ」
「モテモテとは違いますよ。」
「そう?」
「そうです、てか花陽ちゃん落ち着いて。近い近い」
「だって春人くんが私の話聞いてないから!」
微笑ましいといった様子で僕らのやり取りを見ている東條先輩はウェイトレスが持ってきたアイスコーヒーに口を付けて、「あ、これおいしい」と呟いている。
「待って、落ち着いてよ二人とも。た、確かに僕は先輩方のお手伝いしてるけど、それはお願いされたからなんだ!」
「ふ〜ん」
「ふ〜ん」
「ほ、ほんとだよ?別に深い意味は無いからね?」
やっぱり何も変わらない
僕が他の女の子と何かしらの関わりを持つと二人の機嫌が悪くなるこの現象。
この前の出来事で少しは変わったかと思っていたけど、やっぱり女の子の心境というものは僕にはわからない。
ゆっくり誤解を解こうと、一連の流れについて話そうとしたところで、
「っぷふ!」
「ふふっ!春人くん冗談だよぉ!」
「え?じょう...だん?」
「そうだよ!ちょっと春くんをからかってみただけだにゃ!だって春くんはいつも女の子と一緒に居るし...少しくらいは嫉妬しちゃうに決まってるにゃ...りんとかよちんの方が春くんとのお付き合いは長いわけだし」
最後の方は声が小さくて部分部分しか聞き取れなかったけど、敢えて僕は追求しなかった。
花陽は呟いているわけではないけど、かなり嫉妬しているようだ。表情には出ていない。でも瞳が。花陽の透き通った瞳がそう告げている。
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