マブラヴ
1477話
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アルゴス小隊の訓練の様子を見終わった俺は、スレイとは別にカリンダ基地の中を見て回っていた。
一応この基地はシャドウミラーが建てたので、大体の構造は頭の中に入っている。
だが、以前このカリンダ基地に来てからそれなりに時間が経っている為か、俺が知らない建物が増えていたり、逆に知っている建物が他の建物に変わっていたりといった風になっていた。
そうして基地の中を歩いていると……不意に何か引かれるような感触を覚える。
何だ?
その感触のした方へと視線を向けると、そこには銀髪の少女……幼女とまでは言わないが、十分に小さい子供の姿があった。
この、心の中に触れてくる感じには覚えがある。
これは……
「霞?」
そう呟く。
そう、これは霞が俺の中に触れてきた時に感じるのと同じものだ。
向こうも俺が自分を見ているのに気が付いたのだろう。これ以上隠れても無駄だと思ったのか、隠れていた建物の壁から怖ず怖ずと出てくる。
俺に対して敵意を抱いている……という訳ではない。
だが、どう近づいたらいいのか分からないと、そんな風に見える。
「誰だ?」
「誰?」
奇しくも、俺とその少女の声は重なる。
じっと見つめてくるその少女は、少し俺の方を見ていたが、やがて少しずつ……それでいて先程よりは大胆に近づいてくる。
そうして、お互いがお互いの目をじっと見る。……まぁ、俺の方が圧倒的に背が高いのだが。
「お兄ちゃん、誰?」
これは、俺が最初に自己紹介をする必要があるパターンか?
まぁ、別に自己紹介をしたくないって訳じゃない。
ただ……この世界では他の世界と違って、俺の顔と名前は相当知られている筈だった。
それでも俺を知らないという事は、多分まだ子供だからか。
何で子供がこんな場所にいるのかというのは疑問に思うが、見た感じプロミネンス計画に参加しているどこかの国の軍人の子供といったところだろう。
私服で歩き回らせるのは色々と不味いから、軍服を着せているといったところか。
「アクセル。アクセル・アルマーだ。……聞いた事はないか?」
「アクセル? 知らない」
「あー……そうか」
自分の名前を知ってる筈だと、自信満々に言って、それで実は知られてなかったとか……何だか物凄い恥ずかしさを感じる。
子供が相手だから仕方ないとはいえ……
「で、お前の名前は?」
「イーニァだよ、太陽さん」
「……太陽さん?」
「うん。太陽さん。アクセルから感じられるのは、暖かい……それでいて気持ちいい太陽」
こいつ……色々と感じ方の違いはあるみたいだが、やっぱり霞の同類か。
太陽というのも、何となく理解は出来る。
俺は混沌精霊であり、この身体には炎と闇の属性を持つ。
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