マブラヴ
1477話
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先でどうにかするとするか。
「銃を下ろせ」
「何を言っている。貴様、官姓名を名乗れ!」
クリスカだったか。イーニァと違ってそれなりの年齢なんだし、俺の事は知っていてもおかしくないと思うんだがな。
「自分で言うのも何だが、本当に俺の事を知らないのか?」
そう尋ねるも、クリスカは銃口をピクリとも揺らさない。
どうやら、余程の世間知らずらしい。
「二度も言わせるな。官姓名を名乗れ」
氷の如くというのは、恐らくこういう態度の事を言うんだろう。
こっちの方をじっと見て、名前と階級を尋ねてくるクリスカに、どうするべきかと迷う。
アクセル・アルマーだと明言してもいいのか?
「答えられないのか」
銃口を向けているクリスカがそう告げる。
普通なら銃口を向けられればどうしようもないのだが……俺の場合は銃どころかマシンガンでもライフルでも……それどころか、戦術機用の突撃砲や重光線級のレーザーであっても意味はないんだよな。
「さて、何て答えればいい?」
「惚けるのはよせ。官姓名を名乗れ」
何とかの一つ覚えの如く告げてくるクリスカ。
いやまぁ、俺が何も言ってないのが理由なのだが。
ともあれ、どうするべきか迷っていると……やがて先程のクリスカのように、こちらに向かって近づいてくる者の気配を感じ取る。
ただし、今度は1人ではなく5人程だ。
こちらに近づいてくる足音も、非常に急いでいるのが目に見えて分かった。
「ビャーチェノワ少尉、そこまでだ」
そう声を掛けた来たのは、中年の男。
軍人らしく、かなり鍛えられている身体つきをしている。
少なくてもナデシコ世界の軍人よりは上だろう。
……いや、声を掛けてきた男の側にいる、他の兵士達はそこまで強くはないのを考えると、この男だけが特別なのか。
「サンダーク中尉……」
クリスカが、その男に向かってそう呟く声だけが周囲に響いた。
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