15話目 漆黒の者(後)
[1/9]
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
ビライ山。
その山奥にあるポケモンの保護施設『幸運の家』。幸せを運び、分け与えると言われるポケモン、ラッキーの力を借りていることから、その名がついた。
幸運の家で施設長を務めている男、名前をゼンという。
ゼンは、施設に預けられているポケモン達の様子を見るために、施設内を巡回していた。ふと見ると、1人の少年が1体のラッキーを撫でている光景が目に入った。
少年の名前はグレイ。彼はこの施設で働く人間ではない。山で迷ったらしく、2日前にこの施設へと辿りついた者である。
ゼンは、ラッキーを撫でている少年グレイに近づき、話しかける。
「ずいぶんと、そのコに気に入られているみたいだね」
話しかけられた少年グレイは、ゼンの方に視線を向けた。ゼンは、撫でられているラッキーを見ながら、グレイに続けて話かける。
「普段は人に甘えるようなコじゃないんだがねえ、どちらかと言うと、面倒見がよくて、しっかり者で、ラッキー達の中ではリーダーのような存在なのだが、何故か君には甘えるんだねえ」
施設の者からは『姐さん』などというニックネームで呼ばれているラッキーである。他のポケモンから甘えられる事はあっても、甘える姿などゼンは見た事が無かった。
グレイと、『姐さん』と呼ばれるラッキー。ゼンには、なんとなく両者が意気投合しているように見えた。
事件は突然起こった。
幸運の家は山奥にあるため、普段は静寂が支配する場所である。そこに突如として巨大なヘリコプターが数機、轟音と共に現れたのである。
ゼンは突然の轟音の正体を確かめるために、グレイと『姐さん』と呼ばれているラッキーと共に外へ出た。そこには、ヘリから降りて来た漆黒色の服を着た者たちが、1人1体のポケモンを連れてこちらに向かってくる光景が広がっていた。
状況がよく分からないゼンは、漆黒の者たちに向かって問いかける。
「君たち、いったい何者だね? この施設に何の用かね?」
ゼンの問いかけに対し、漆黒の者たちが答える。
「我々はライフ団! 生命の力について研究する者だ!」
ライフ団、と名乗った者たちは、さらに言葉を続ける。
「我々ライフ団は、生きる力を分け与えるというこの施設のラッキーに興味がある。おとなしくラッキーを渡してもらおうか」
ラッキーの強奪を宣言したライフ団。この平和な空間は、突如として暴力の世界へと変質したのだ。
(ラッキーを奪う? そんな事が許されるはずがない!)
ゼンは強く思った。施設には、心が弱り、ラッキーの力を必要としているポケモンが多くいるのだ。
ゼンは、隣にいる少年グレイが、トラベル地方のジムバッジを2つも所持する実力あるトレーナーであることを思い出し、グレイに頼み事をする。
「なんの冗談かは分からんが……グレイくん、君
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ