14話目 漆黒の者(前)
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た者たちは全員、漆黒色の制服を着ている。漆黒色は死を連想させる色である。
命を名乗りながら、死を連想させるその姿。その不一致さを見たグレイは直観的に、目の前の者が善悪で言えば悪側であると思った。そしてその直観は、ライフ団と名乗る者の次の言葉で確かなものとなる。
「我々ライフ団は、生きる力を分け与えるというこの施設のラッキーに興味がある。おとなしくラッキーを渡してもらおうか」
つまりは強盗の宣言である。ライフ団の発言により、その場を緊張感が包んだ。
ゼンがグレイに真剣な表情で声をかけてくる。
「なんの冗談かは分からんが……グレイくん、君はトレーナーなんだろう? 頼む! 一時的でもいいから、あいつらを止めてくれんか? 私たちの活動にラッキーは必要不可欠な存在なんだ。ラッキーを失う訳にはいかないんだ」
「分かりました。飯と寝床の恩がありますしね」
グレイはゼンの願いを聞き入れた。
目の前に広がるライフ団と多数のポケモン。一般的なトレーナーならば、これらを相手に1人で戦うなど不可能な話である。しかし、トラベル地方のジムバッジを2つも所持しているグレイは、一般的なトレーナーの側の人間ではなかった。
「私は警察と連絡を取る。応援が来るまで、何とか頼むよグレイくん!」
ゼンはそうグレイに言い残し、建物に入っていく。
ラッキーがグレイに心配そうな表情を見せた。
「大丈夫だ! なんとかなる!」
グレイの言葉を聞いて、ラッキーもゼンと共に建物の中に入った。
「ビビ! KK! レパ! 頼むぞ!」
グレイはそう言って、ビビヨン、ギャラドス、レパルダス、を出した。
お察しの通り、ビビはビビヨン、KKはギャラドス、レパはレパルダス、のそれぞれのニックネームである。戦闘中に名前を呼びやすいように、グレイは自分のポケモンに短いニックネームをつけたのだ。
戦う意思を見せるグレイに、ライフ団の団員が声をかけてくる。
「お前1人で戦うつもりか? 子供1人とて容赦はせんぞ!」
その言葉を合図に、相手が一斉に攻撃を仕掛けてくる。
「KK! レパ! 突っ込め! ビビはここから狙撃だ!」
グレイの指示で、まずギャラドスが相手の集団の真ん中に突っ込み、遅れてレパルダスが続く。ビビヨンはその場で“むしのていこう”や“サイケこうせん”などの特殊攻撃技を使って遠距離攻撃をする。
激しい戦いが始まった。
「我々が……こんな子供相手に……」
ライフ団の1人がそうつぶやいた。
グレイとライフ団の間には惨状が広がっていた。
ビビヨンに狙撃されたポケモン……レパルダスに一瞬でやられたポケモン……ギャラドスに絞められたポケモン……ギャラドスに投げられたポケモン……ギャラドスに埋められたポケモン……ギャラドスに突き落と
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