14話目 漆黒の者(前)
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スをためる訳にもいかない。この辺りに生息する野生のポケモンは弱い者ばかりで、ギャラドスが満足できる相手など皆無だった。
イスに座りながら、グレイはぼーっとしていた。
(今日中には絶対に出ていこう。ただ……今はこの平和な空間を満喫したい……)
グレイがそんな風に考えていると、1体のラッキーがグレイの方へ歩みより、グレイの前に座った。
「おお、どうした? 仕事は終わったのか?」
そう言いながら、グレイは目の前のラッキーを撫でてやる。グレイの手がフワフワした感覚に包まれた。
グレイに撫でられて、ラッキーは嬉しそうな表情をした。
「ずいぶんと、そのコに気に入られているみたいだね」
1人の男がそう言いながら、グレイに近づいてきた。男の名前はゼン。この施設の長である。ゼンが続けて話しかける。
「普段は人に甘えるようなコじゃないんだがねえ、どちらかと言うと、面倒見がよくて、しっかり者で、ラッキー達の中ではリーダーのような存在なのだが、何故か君には甘えるんだねえ」
目の前のラッキーが施設の人間たちに『姐さん』というニックネームで呼ばれている場面を、グレイは何度か目撃している。
(なんか、気が合うんだよな……このラッキー)
グレイは、施設で働くラッキーの個体を見分ける事はできない。しかし、目の前の撫でている個体だけは、なんとなく他のラッキーとは区別がついた。
(ラッキーを撫でてると、なんか幸せな気持ちになれるな……)
そんな事を考えながら、グレイは平和な時間を満喫していた。
そんな平和な空間を乱す事件は、突然に起こるのである。
ビライ山の中腹で、森が開けた場所に建つ幸運の家。
静寂に包まれるその場所の上空に、轟音と共に突如として巨大なヘリコプターが数機現れた。幸運の家の上空で静止したヘリから、次々と黒い服の者たちが降り立ち、1人1体のポケモンを出して幸運の家へと向かってくる。
「なんだなんだ!?」
突然の轟音に驚いて外に出たグレイは、こちらに向かってくる黒い服の集団とポケモンを見て、そう声をあげた。
グレイの隣には、様子を見にきた施設の長と、さっきまでグレイが撫でていた『姐さん』と呼ばれているラッキーもいる。
「君たち、いったい何者だね? この施設に何の用かね?」
施設長のゼンが、黒の者たちに向かって問いかけた。
「我々はライフ団! 生命の力について研究する者だ!」
ライフ――つまり、命。
『命』と聞いて、何色を想像するだろうか? ハートの形を連想し、赤色やピンク色を思い起こすだろうか? 植物を連想し、緑色を想像するだろうか?
想像には個人差はあるだろう。しかし、命と聞いて黒色を連想する者は少数派だと思われる。
グレイの目の前にいるライフ団を名乗っ
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