008話
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―――剃!!」
「―――なっ……ちぃ!!」
瞬間的に姿を消したシャネルに一瞬だけ驚愕するが瞬時に思考を切り替えるハンゾー、凄まじい加速だがわずかに残像が見えた。そこから逆算し感じ取った攻撃は首へと手刀、姿勢を低くしながら身体を回し丸くなるようにし攻撃を回避する。
「指銃!!」
「おらぁ!!」
回避されても即座に引かれる腕、放たれる銃弾に匹敵する指の一突き。だが忍者も負けてもいない、回転し丸まった勢いを使い二の腕へと回し蹴りを加え指銃の軌道を反らせた。頬を掠った指銃は皮膚を削り血を滲ませる。鋭い蹴りを受けた二の腕、軽く腕が痺れそうになる。
「剃」
「いてっ……ったくなんて速さだ……」
床に倒れこんだハンゾー、身体を起こせば先程まで腕が届く距離にまでいたシャネルは大きく距離を取りつつ様子を伺うようにこちらを見ていた。蹴られた腕の痺れを取るかのように手を握ったり開いたりを繰り返していた。
「やるなハンゾー、初見で剃にまともに反応出来たのは初めてだぞ」
「俺の故郷だと更に無音でやる技法もあるんでね、それで何とか対処出来た」
自慢げに語るハンゾー、事実剃には驚いたが対処出来ない訳ではない。最初こそ驚かせれたが次は完全に対処出来るだろう、だがそれ以上に相手との実力差に苦虫を噛み潰していた。普通の決闘とは違い相手に参ったと言わせるしか勝敗が決定しないこのルールではどうやってシャネルからそんなことを言わせて良いのか解らない。
「(他の六式も試すか?否、嵐脚は他の奴の迷惑になるし砕だとこの部屋自体ぶっ壊しかねないからなぁ)」
「(ったく冗談じゃねえなこれ、こりゃ勝てそうにねえな……)」
「ハンゾー、まだやるか?」
「はぁ〜ん……ぶっちゃけやめてぇな」
ハンゾーの口から出たあっさりと自分の負けを認めるとも取れる発言。寧ろ彼にとってこの場で戦い続けることは全く上策ではないしここで負けてもまだチャンスはある。自分と相手の力量をしっかりと理解している武人の発言、だが正直ここで素直に宣言したくない自分も居ると言いたげな思いも込められていた。
「正直俺が勝つ可能性なんて0に近い、それならここは負けて次の望みを託すのが正しいって所だろ」
「正論だな、このまま続けるとなると俺は確実にお前を殺しちまうからな」
「ぞっとしねぇなあ……まあいい、俺は次に望みを託すぜ。『参った』」
そのままハンゾーは黙って自分の負けを認めた、意固地になって戦っても消耗して後で負けて失格者になる可能性が高い。しっかりと弁える事も知っている良い人物だとシャネルは思う。
ハンター試験第一合格者:シャネル
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