第十七話 姉妹の薔薇その一
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第十七話 姉妹の薔薇
マリーはマイラと向かい合っていた、王宮の中庭には二人以外にはそれぞれの侍女達がいた。だがその侍女達にだ。
マイラは目配せをした、それでだった。
侍女達は二人に一礼してから去った、そして。
中庭から去り彼女達だけになった時にひそひそと話をした。
「大丈夫でしょうか」
「マイラ様とマリー様は」
「いざかいなぞ起こされなければいいですが」
「折角こうして二人でお会いしたのですから」
「仲良くして頂ければ」
「そうして頂ければ」
二人で話すのだった。
そしてだ、ここでさらにだった。
年配の侍女がだ、目を伏せさせて言った。
「お二方は共に聡明な方で」
「無体なことはされないですね」
「そうしたことは」
「お二方は」
「決して」
「はい、ですが」
それでもとだ、年配の侍女はさらに話した。
「お二方の壁は厚いです」
「その間にある」
「それは、ですね」
「厚いのですね」
「そうなのですね」
「その壁は取り除かれるのか」
それはというのだ。
「非常に不安があります」
「左様ですか」
「ここで会われても」
「壁が除かれるかは」
「わからないですか」
「壁は氷の壁です」
二人の間にあるそれはというのだ。
「果てしなく冷たく厚く硬い壁です」
「その様な壁では」
「容易にはですね」
「取り除くことは出来ないですね」
「それは」
「そう思います」
これが年配の侍女の見立てだった。
「どうしても、しかし」
「それでもですね」
「ここで会われたことは大きいですね」
「それも非常に」
「そうなのですね」
「その壁もです」
氷の壁、それもというのだ。
「氷は溶けるものですから」
「これを機にですか」
「溶けますか」
「そうなっていきますか」
「そうなることを願っています」
心からというのだった。
「是非」
「では」
「ここは、ですね」
「そのことを期待して」
「お二方を見守らせて頂きますか」
「私達は」
「そうしましょう、マリー様は」
年配の侍女は実はマリーの侍女である、マリーの聡明さも人柄もよく知っていてそのうえで言うのだった。
「非常に立派な方なので」
「はい、マイラ様もです」
マイラに仕えている年配の侍女も言う。
「聡明で私達にもとてもお優しいです」
「そうしたお二方ですから」
「必ずですね」
「溶けます」
そうなるというのだ。
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