覚醒はいつも唐突に来るけど、それを支える土台があってこそ
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るって。昔はそれが銀術士の結婚の証だったそうだけど、それをレイナお姉さまがハムリオと作っていた。本当に二人は愛し合っていたんだ。何かが違えば、お姉さまは死なずに済んだのに。お姉さまは変わることを心から望んだんですね。
「認めたくない。認めたくないけど、紲の銀を見せられちゃったら、認めるしかないじゃない!!」
オルトロスから紲の銀で出来た槍を引き抜いて構える。握ってわかった、今でもお姉様はハムリオの傍にいるんだって。そして今は私にも力を貸してくれている。僅かな力で簡単に銀を操れる。精度も以前の私とは比較にならない。そうしているうちに炎で出来た戦士たちがオルトロスとケルベロスに襲いかかる。その隙きをついてハムリオが傍までやってくる。
「ほれ、拾ってきてやったぞ」
そう言って擬態の聖剣を投げ渡してきた。擬態の聖剣を持っていた左手が聖なる気にやられてボロボロになっている。
「ちょっと、それ!?」
「なあに、握り込めば見えやしねえ。それより、ようやく銀術をまともに使えるようになったか。これでレイナからの贈り物が渡せる」
「贈り物?」
「どうやって渡そうか悩んでいたみたいだが、その後に殺されちまったからな。受け取れ」
魔法陣から現れるのは聖銀で出来た等身大の勇者と魔王の人形が現れる。
「これ、オストリッチとペレグリン」
「そうだよ。お前のために用意した物だ。どう使うかはお前に任せる」
お姉さまが私のために残してくれたもの。形見として持っているオストリッチではなく、私のために作ってくれた勇者と魔王。
「行こう、イーベル、クレスティア」
勇者の人形にイーベル、魔王の人形にクレスティアと名付け、いつも持ち歩いている銀を操り糸としてイーベルとクレスティアに取り付ける。これから始まるのは人形劇。観客はこの場にいる皆さん方、お代は獣たちの命。人形師レイナが一番弟子の初の殺戮劇。勇者と魔王のアンサンブルを。
「やって、イーベル、クレスティア」
私の操作を受けてイーベルが剣を、クレスティアが槍を持ってオルトロスに襲いかかる。次々とオルトロスたちが倒れて行く中、いつの間にかもがれた翼が再び生えていたコカビエルがイーベルに繋がっていた銀を切り落とす。それと同時にイーベルの動きが止まる。それで倒せたのだと思いクレスティアに襲いかかろうとしたところでイーベルで首を刎ねる。
「銀の遠隔操作か。中々器用なことをするもんだ」
「師匠が、良かったから」
無防備になっている私を守るようにハムリオが傍で紲の銀の槍を振るっている。コカビエルが死んだことでオルトロスの増援がなくなり、そのまま全滅する。コカビエルはいつのまにか1枚の羽を残して消え去っていた。何が目的だったのかはわからないけど、何も成
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