覚醒はいつも唐突に来るけど、それを支える土台があってこそ
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疑問形でこたえるけど、まあ、普通は歓迎されるとは思わないわよね。だけど、それでも良いと思うのよ。私たちはゼオンに色々な物を貰ったから。少しでもお返しが出来れば、気を抜ける時間を増やせたら、そう思うのよ。
部長には歓迎するって言われたけど、誰かに本気で惚れるなんてこと今まで経験したことがない私としては告白する勇気が出なくてずるずると引っ張ってしまっている。それでも先日のように体調不良だとは思われない程度には平静を装えている。まさかおでこ同士を合わせる熱の計られ方をするなんて思っても見なかったし、お姫様抱っこまでされるなんて。女として半分は終わってると思ってたけど、存外乙女だったようだ。思い出すだけで顔面が真っ赤になる。
「イッセー先輩、また足元がお留守ですよ」
考え事をしていた所を白音ちゃんに足払いをかけられて転んでしまう。そのまま転がり続けて距離と勢いをつけてから飛び起きる。
「リカバリーはよくなりましたね」
「そりゃあ、何回も転ばされてるからね」
「それだけ足元がお留守なんですよ。ほら」
「いや、明らかに力づくじゃん!!」
「技も加えると手加減が聞かなくて足を折っちゃいますよ?」
「力づくで結構です」
アーシアも患部に直接触れることの出来ない骨折を治すのは時間がかかる。速く治療するには肉を抉って直接聖母の微笑の力を当てなければならない。ゼオンの治療の場合は小さいピンク色の剣を患部に突き刺す。突き刺した付近しか治療できないので必然的に患部を触らせることになるんだけど、足となるとゼオンが目の前に膝まつくことになる。それも足に触れることにもなる。少し前ならラッキー程度に思えていたんだろうけど、今の私には平常心ではいられない。乙女回路をオフにするスイッチってないかな?藍華にも笑われて、心配されるぐらいに強力な乙女回路が搭載されてるなんて自分でも知らなかったよ。
「それにしても、もう一週間も経つけど、まだ動かなくていいのかな?」
「ゼオンお兄ちゃんが言うには、相手は構ってちゃんだから、無視してればちょっかいを絶対かけてくるって。それに街には式髪を数百体放って監視してるからいきなり詰みになるような状況にはならないとも」
「本当に多彩なんだね」
「変わり者の知り合いが多いですから。一緒に暮らしていた時は、種族の違いなんてちっぽけなことなんだって肌で感じましたから。言葉が違っても、思いさえ伝われば手を取り合うことはできる。うまい酒と飯があれば大概の奴とは仲良くなれるって言ってますよ。自分でうまい飯を作りながら、うまい酒を持ってこさせて」
「なんか、自由だよね」
「基本的に悪魔のプライベートって自由ですよ。仕事は仕事、遊びは遊び、仕事で遊べれば一番いいな
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