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艦隊これくしょん【幻の特務艦】
第二十九話 巻き返し
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行きも帰りも一切の敵に合わなかった。そのことは僥倖と言えば僥倖だったが、不可解さの方がずっと優っている。
 この広大な太平洋だからと言われればそうなのだが、広大な洋上だからこそ敵も少なからぬ艦隊を展開させているだろう。それに一隻も出会わなかったことが果たして偶然なのだろうか。

 紀伊は胸騒ぎを覚え始めていた。


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