第二十九話 巻き返し
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終えた比叡が出ていった後、長門はじっと考え込んでいた。
「何を心配しているの?今回は偵察任務であって敵と交戦するわけではないし、まして航路設定については私たち以外には話はされていないのよ。」
陸奥が長門の肩に手を置いた。
「あぁ。だが秘密というものはどんなに蓋をしても漏れるものだ。今回の偵察艦隊には一切の護衛もつけない。万が一敵の大規模な艦隊が出撃してきたら、ひとたまりもない。」
「だからといって私たちが行けば、かえって足手まといになるわ。偵察艦隊はすべて高速編成だもの。低速の私たちはついていけない。」
「わかっている。そして今回は航空支援もできない。残念ながらな。」
ドアがノックされた。
「入れ。」
ガチャリと後ろ手にドアを閉めたのは、大鳳だった。
「どうだ?」
大鳳は首を振っただけだった。顔色があまりよくない。
「仕事とは言いますけれど、味方を疑うようなまねはあまりしたくはありません・・・・。」
「わかっている。お前にはだいぶ負担をかけていることは承知している。だが、もしもこの作戦が漏れれば、比叡たちが危ない。」
大鳳はうなずいた。
「廊下にも周辺にもだれ一人いません。盗聴器もなしです。したがって漏れる危険性はないと思います。」
「よし。」
長門は初めて肩の力を抜き、寄り掛かった。
「陸奥。第二段階だ。有力な艦隊を南太平洋上に進出させ、敵の眼を引くぞ。」
「了解よ。既にオーダーは組んであるわ。大和、金剛、霧島、麻耶、鳥海、蒼龍、加賀、能代、夕立、白露、村雨、朝雲、古鷹、長月、深雪を出撃させる。彼女たちには有力な敵の大艦隊を撃滅して、勢いをつけ、今後の作戦展開の橋頭保を築くという説明をする予定よ。」
「よし。」
長門はうなずいた。
二日後――。
黄昏の中、比叡たちは順調に航海を続け、ミッドウェー諸島に接近しつつあった。
「ここまでくれば、もう充分だと思います。少数の偵察機を発艦させ、ミッドウェー諸島の様子を探った後、早々に帰投することに・・・してもいいですか?」
比叡は自信なさそうに言った。
「比叡、あなたは旗艦だもの。とんでもない指示でない限り、私たちは従うよ。」
「まぁ、そうなんですが・・・・。」
「何かありますか?」
と、紀伊。
「あ、その・・・・。」
比叡は言葉を濁していたが、
「あの、私ってちゃんとできてますか?」
「いまさら何を言ってるんですか?今まで全然問題なかったですよ。」
と、川内。
「それは、だって、ここまで敵艦隊に遭遇したことも、深海棲艦機に遭遇したこともないんだから・・・・。」
「それだけじゃなくて、進路の指示や艦隊の艦列の指示も的確だったと思います。」
と、吹雪。その横で清霜も、
「うん、だからこうしてスムーズにこれたんだと思います!」
「そうです
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