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STARDUST唐eLAMEHAZE
第三部 ZODIAC CRUSADERS
CHAPTER#6
呪縛の死線 玲瑞の晶姫VS漆黒の悪魔
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なシャツと腰にフィットしたジーンズ、
履き心地の柔らかなカジュアル・シューズとラフな様相で
エレガントな部屋の雰囲気にはやや似つかわしくない。
 他の宿泊客が見れば彼女を世間に無頓着な作家か芸術家だと判断するだろうが、
あいにくとその者は滅多にこの部屋から出ない。
 胡乱(うろん)迂遠(うえん)が等分に混ざりあったような瞳のまま、
頬をカウンターで組んだ腕に乗せ、ただ時間が過ぎるのを待つ。
 コレが嘗て、被契約者譲りの狂獰さと好戦的な性格で
多くの紅世の徒を恐怖のドン底に突き落とした
“蹂躙の爪牙” のフレイムヘイズ、
“弔詞の詠み手”だと一見して気づく者はいないだろう。
 何しろ彼女と旧知の間柄に在る者ですら、
余りにも変わり果てた姿に我が眼を疑ったほどなのだから。 
「……」
 その理由は言わずもがな、
この世界に生きる全人類、紅世の徒すらも決して罹患を避けえない不治の病
『恋煩い』 である。
 ほんの僅か数日前、見知らぬこの地で邂逅した、一人の人間。
 共にいた時間は永きを生きる自分にとって瞬きにも満たないモノで在ったが、 
狂気と殺戮で充たされたこの数百年のどれよりも果てしなく輝いていた。
 そう、“人でなくなる前” アノ娘と過ごした時と同様に。
 しかし決して悲劇的な終局ではなく
「再会」 の希望を残した、優しい別れだった。
 でもソレが、まさかこれほどに辛いモノだったとは。
「ノリ……アキ……」
 原液の注がれたグラス越しに、
彼女は潤んだ瞳で何度目か解らなくなったその名を呟く。
 いつか必ず戻ってきてくれる。
 彼が約束を(たが)えるなんて事は有り得ない。
 それは解っている。
 解って、いるのに。
 でも……    



“寂しい、淋しい、サビシイ”



 心の中を絶え間なく吹き荒ぶ、冷たく乾いた風。 
 逢いたい。
 声が聞きたい。
 傍にいたい。
 離れていては、呼吸をする事さえ苦痛。
「待つ」 のが、こんなに辛かったなんて。 
 その想いが形になる前に、手を伸ばすルージュだらけのグラス。
 視界がブラック・アウトするまで酒を呷り、
そのまま昏睡しては時間の概念を喪失したまま眼を覚まし、
後は追憶に浸ったまま同様の行為を繰り返す、
ここ数日間はずっとこんな感じである。
 最初こそ被契約者である王がカウンターに乗せられた本型の神器
“グリモア” 越しにぶっきらぼうな口調で窘めていたが、
何を言っても無反応なのでそのうち彼は考えるのを止めた。
 窓の外で昇る朝日と沈む夕陽をカウンターの上で眺め、
宝石箱をひっくり返したような香港の夜景に血を滾らせ、
そのまま飛び出してしまおうかと想ったのは一度や二度ではないが、
傍らで
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