第三部 ZODIAC CRUSADERS
CHAPTER#6
呪縛の死線 玲瑞の晶姫VS漆黒の悪魔
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た。
咄嗟にバルコニーへと移動し、鮮血の滴る欄干から身を乗り出す淑女。
「……」
しかし眼下にはホテルの平穏な遊歩道以外何もなく、
投身自殺による騒ぎも起きていなかった。
「消え、た?」
「不可解」
想わず疑念を口にしたヴィルヘルミナに応じるティアマトーすらも
一体何が在ったのか理解しかねるようだった。
「……敵にしては、妙なヤツでありましたな」
「懐疑」
短く言葉を交わし、しかしこれで戦闘は終わったのだと了得した淑女は再び室内に戻る。
「兎に角、あの方が来る前に部屋を片づけ、
モップがけをしておくのであります」
「迅速」
ジョセフに事実を伝え部屋を代えてもらうよりも、
まずメイドの本能が彼女を動かした。
その、とき。
ヴァッッッッッッッッッッズウウウウウウウウウウウウゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥ――――
――――――――――――――ッッッッッッッッッッッッ!!!!!!!!!!!
突如、ヴィルヘルミナの左大腿部が、
纏ったスカートと中の古風な下着ごと裂けた。
音と同時に異常な出血をもたらすその傷痕は、
技巧の欠片もない、ただ力で無理矢理に筋繊維を引き千切った惨たらしいモノ。
しかしそれ故に、甚大なダメージと筆舌に尽くし難い痛みを後に残す。
「な……ッ!? ど、どこ……から……!?」
「如何!?」
滑らかな肌の裂け目から噴き出す血飛沫と共に片膝の力が抜け、
淑女は床の上に伏する。
「攻撃を受けた感覚は、全く、なかったのであります……
ソレなのに、何故……あ、ぐぅぅ……ッ!」
普段の戦闘でも殆ど表情を変えない彼女が、本当に珍しく苦痛の色を表した。
強靭な精神力で何とか意識を繋ぎ止めているが堪え切れるような痛みではない、
その全身が怖気に包まれあらゆる身体機能が弛緩してもおかしくなかった。
「兎に角、まずはマスターに連絡を……
次に狙われるのは、あの方かもしれないのであります……!」
歩を進めるごとに鮮血が飛散する、
泣き叫びそうになる痛みを歯を食いしばる事で抑え、
ヴィルヘルミナは備え付けの電話に手を伸ばした。
←TOBE CONTINUED…
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