第三部 ZODIAC CRUSADERS
CHAPTER#6
呪縛の死線 玲瑞の晶姫VS漆黒の悪魔
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いて噴き出る鮮血と共に、抉れた傷痕からドロリと漏れる白濁した液体。
凄惨なる光景を前に返り血を頬に浴びる淑女の風貌は、
汗もかかず瞬き一つすらしていない。
通常の秤を越えた異能戦とは云え、
『攻撃を仕掛けた側が』 ダメージを受けるという不可思議な現象。
ソレは当然、一条のリボンを手にしたヴィルヘルミナの能力
戦技無双のフレイムヘイズ “万条の仕手” の業は、
一見華麗な乱舞系の技に “いきがち” だが、
その真の怖ろしさは 『守り』 に在る。
相手が攻撃する瞬間同時に繰り出されるリボンは、
実際は視線のかなり下方を走り非常に見え辛い。
ましてや戦闘時の狭まった視界ならソレは 「死角」 と呼んでも差し支えはない。
そして相手に認識されないままリボンを機動点に絡め、
勢いを殺さずに攻撃の方向のみを換える、無論己自身の力を上乗せして。
この原理を解せぬ者ならば、本当に自分自身の攻撃が
意に反して跳ね返ってきたとしか想えないであろう。
正に攻防一体、精密性だけなら、フレイムヘイズ随一と言って良い超絶の神技。
おそらくタイミングさえ合えば、 『星 の 白 金』 の連撃すら
跳ね返すコトは可能だろう。
「せいぜい自らの刃に、切り刻まれるが良いであります」
そう言って淑女が右手を引くと同時に、
リボンで繋がれたスタンドが操り人形の如く本体の命令を無視して
デーボの躯を縦横に裂く。
「ギャアアアアアアアアアアァァァァァァァァァ――――――――――――!!!!!!!!!!
ぐあああああああばあああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁ―――――――――――!!!!!!!!」
咎人の号哭を想起させる悲痛な声を耳にしても、
ヴィルヘミルナの表情は緩やかな水面を見据えるソレと全く同じ。
使命に燃えるシャナや戦いそのものを愉しむマージョリーとは
まるで次元の違う、圧倒的な非情さが彼女には在った。
乱雑に縫いつけた縫合痕が裂け、膿血の溜まった瘡瘢が破れ、
神経の通わない痼りが次々と断たれていく。
少し離れた位置でその様子を見ていた淑女の脳裡に浮かぶモノは、
(掃除が、大変そうでありますな)
ただそれだけだった。
やがて全身血達磨にされたデーボがベチャッと粘着質な音を立てて床に転がり、
そこでようやくヴィルヘルミナはリボンの拘束をスタンドから解く。
「……他愛もない。
コレならば南中国海で遭遇した “猿” の方が、
余程恐ろしい異能者だったのであります」
返り血に濡れるリボンを軽く払い、
ヴィルヘルミナは床に伏す瀕死の男を無感動に見下ろす。
さてこのまま止めを刺すか、それともこの
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