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銀河英雄伝説〜新たなる潮流(エーリッヒ・ヴァレンシュタイン伝)
第百七十八話 改革者達の戦い
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故思うように行かないのか? ブラッケとも何度も話し合い、時には感情的になって喧嘩になる事もありました。役人達とも住民とも話し合い、それでようやく分かりました」
「……」
リヒターはブラッケと顔を見合わせ“苦労したな”とでも言うように微かに笑みを浮かべて頷きあった。それなりに得るものはあったようだ。
「十月十五日の勅令で改革の実施が宣言されました。その事で私もブラッケも全ての人間が改革を受け入れたのだと思ってしまった。でもそうではなかった」
「……」
「多くの人間がそれを良いことだと思っていましたが、同時にどう受け止めて良いのか判断しかねている、そういう状態だったんです」
「……今回の内乱と絡ませた事が改革の意味を薄めてしまいましたか。そういう意味ではヘル・ブラッケ、卿の言う通り内乱を終えてからのほうが良かったのかもしれませんね……。しかしあれ以外に短期に内乱を起させる手が有ったのか……」
俺の言葉にリヒターが少し慌てたように口を出してきた。
「司令長官閣下、そういう意味で言ったのではありません。ブラッケも今ではあれが最善の手だと思っています」
「そうです。問題だったのは私達が現状をきちんと把握しないまま改革を進めてしまった事です。先程も言いましたが勅令が発布された事で改革が全ての人間に受け入れられたと思い込んでしまった。足が地に着いていなかったのです」
オイゲン・リヒターが、カール・ブラッケが口々に俺に非は無いと言った。
二人とも優しいな、病人を労わってくれる。健康体だったらブラッケにブウブウ文句を言われただろう。原作ではラインハルトを随分と批判していたからな。そう思うと入院生活も悪くない。ピーマンとレバーさえなければだが……。
「これからはどうすれば良いのかは分かっています。先ずやる事は改革の主旨を理解させる事です。改革とは何なのか、何故改革を行なうのか、それを帝国全土に徹底させます。そうでなければ皆の協力は得られません。私達が空回りするだけです」
「そうです、ブラッケの言う通りです。個々の改革案の実施はその後でいい。カストロプでの改革はそれが分かっただけでも無駄ではありませんでした」
オイゲン・リヒター、カール・ブラッケの言葉には力が有った。負け惜しみではないのだろう。理想を持つ事、現実を把握する事、そしてその間を埋めていく事、それが出来るようになれば内乱終結後の改革には期待しても良さそうだ。もっともそうでなければ困るのだが……。
「なるほど、軍隊では上意下達、場合によっては殴りつけてでも従わせますが、政治経済ではそうは行かないということですね。人を動かすと言う事程難しいものは無い……」
俺の言葉に二人は深く頷いた。随分と苦労したのだろう、表情に疲れがある。軍人だけが戦ってい
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