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Muv-Luv Alternative 士魂の征く道
第五十話 別様
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みたいから。望む場所へと。







「今回、ソ連側からの要請にとり東西両陣営による合同演習が決定されたのは先ほど周知したとおりだ。」

 ブリーフィングルームにてソ連との合同演習が急きょ決定された事の告知を再度行う。それ自体は事前配布した資料を読み上げるだけの簡単なものだ。

「しかし、我々には無駄に過ごしていい時間など一刻たりとも存在していない。故、今回の合同演習を有意義なモノとする為に従来予定されていたカリキュラムを一部アレンジしながらも消化することとする。」
「タカムラ中尉、少しいいかしら?」

 ブリーフィングルームで説明を聞く衛士の一人、彫刻のような美貌、金髪蒼眼の白人女性が手を挙げた。

「ブレーメル少尉、何か?」」
「事前に予定されていたカリキュラムとは一体何なのかしら?」

 ステラ・ブレーメル少尉。スウェーデン出身の衛士である彼女に頷く。

「うむ、其れだが知って通りアルゴス小隊の開発衛士(テストパイロット)には日本人衛士―――平たく言えば、日本機への搭乗経験がある衛士が存在しない。
 強いて言えば、ブリッジス少尉以外には弐型と同様の運用思想下で開発された戦術機への搭乗経験がある程度……。
 よって、弐型の建造が未だ途中であるため、これを期にTST−type97吹雪への搭乗を行ってもらう。」

「フ…ブキ……?」

 自分が乗ることになる機体の名を呟く南アジア系人種の特徴を持つ少女、そんな彼女の疑問に満ちた声に答えたのは試験小隊の指揮を執る中東系の褐色の肌を持つ男だった。

「type97はtype94直系の高等練習機だ。」
「―――――」

 冗談じゃない。馬鹿にしているのか。
 そんな声にならない声が表情からありありと見て取れる男、XFJ計画の首席開発衛士(メインテストパイロット)であるユウヤ・ブリッジス。
 主席開発衛士である彼の疑問もある意味では尤もだが、軍人としてはどうかと思う。

 必要な情報は必要な時のみに掲示される。それが軍人の基本、守秘義務NEED TO KNOWの原則だ。
 それが気に食わないのは理解できるが、だがその裏を予測しつつもその命令に従うのが軍人だ。

 ―――今回に限って言えば、敢えて吹雪の特性を周知せずに搭乗させることで彼の突発事態への適応性と、どれだけ日本機を知る気があるのか………というのを見る目的がある。

 彼と一緒に赴任してきた整備士のヴィンセント・ローウェル軍曹なら日本機がどういう意図をもって建造されたかというのは大よそ知っているだろうし、知ろうと思えば知ることが出来るのだ。

 ――――我ながら大分甘いと思う。あの人ならば無理やり乗せた上でぐうの音も出ない程に叩き潰し、そのうえで奴の得意なF-15あたり
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