二十一話:女性達の会話
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しかし、ここにはそれを善しとしない人物がいる。
「旦那様を否定するのは心苦しいですが、夫を諫めるのも妻の役目。お手伝いしますので、一緒に宿題をしましょう。あ、それと、この前探していた本は三段目の引き出しの中にありました」
『ありがとう、清姫。ところで、なんでそれを知っているのかな?』
「? 掃除をしていた時に見つけたからですが?」
『そうじゃなくて……いや、やめておく。夜寝れなくなりそうだから』
「まあ、私のことを想うと夜も眠れないなんて……これはもう、結婚するしかありませんね」
かみ合っているようで、まるでかみ合っていない会話を繰り広げる二人。
恋する乙女とは時に恐ろしいものである。
「それでしたら、私もお手伝いしましょうか。もちろん、お姉様も一緒に」
「は? なんで私も一緒にやらないといけないのよ」
「昨日、『一人よりも大勢でやった方が楽しい』と言っていましたので」
「ちょっ! あれはそういう意味じゃ……って、なんで知ってるのよ!?」
「お姉様のベッドの下で聞きました」
「もう、ただのホラーじゃない、それ!!」
いとも容易く行われるストーカー行為。
その源は純粋な愛であるが、やられる側からすれば恐怖でしかない。
そして、その苦労が、ぐだ男とジャンヌ・オルタに妙な共感を抱かせていることを二人の乙女は知らない。
自業自得というものである。
『取りあえず、みんなで宿題をするのは決定でいいのかな?』
「フン……まあ、あんたが、どうしてもって言うならつき合ってもいいわよ」
相も変わらず、ツンツンとした態度であるが、拒絶はしないジャンヌ・オルタ。
そんな姿に、ぐだ男は思わず微笑んでしまいながら思うのだった。
―――もし、彼女の隣に立てるのなら、それは素晴らしいことだろうと。
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